作品データ
あらすじ
シンガポールの大都市にある地下鉄では、その日も終電で帰宅する多くの通勤客を乗せていつも通り運行していたが、突如制御不能となってコースを外れて暴走した。
現在使われていない廃墟と化したトンネルへ突き進み、ようやく停車したその場所は、未知なる怪物の巣窟になっていた。
家路を急いでいた母親のイー・リンは、地下鉄車内に侵入した怪物に遭遇して息子のルーカスを連れ去られ、彼女は助ける為に立ち上がるのだった。
登場人物&出演者
・イー・リン(演:ジェセカ・リウ)
代表作に『Bring Back the Dead』、『Nu gui ai shang shi』などがあります。
主人公。救急外来で看護師をしていた。車の事故で夫を失い、シングルマザーとして会社員をやっている。
シングルマザーとして淡々と毎日を過ごし、心配する母親から精神的な治療の必要性を助言。
地下鉄で家に帰ろうとして脱線して、ケガした人たちの手当てをすると怪物の襲撃に遭う。
息子を連れて逃げ出したが、過去を思い出した怪物によって連れ去られて追いかけていった。
最後は息子を守る為に怪物の子供たちを焼き殺し、救助隊によって発見されて生還を果たす。
・ルーカス(演:ナサニエル・ン)
本作が長編映画デビュー作となります。
イーの一人息子。過去に車の事故によって背中に大きな傷を負い、そのせいでトラウマになって無口となる。
母親が仕事で遅くなっていると祖母の家にいて時間を潰し、一緒に電車で帰宅をしていた。
電車が脱線して取り残されると、降りた乗客が走って戻ってくる姿を最初に見つけていた。
怪物が襲ってきて母親たちと逃げ出すが、怪物を飼っていた子供を連想されて連れ出される。
最後は言葉を話せるようになって母親に助けられ、やって来た救助隊によって救出された。
・ジャニス(演:アシュリー・サウ)
本作が長編映画デビュー作となります。
短大に通っている女子大生。バスケ部に所属してレギュラーを勝ち取ろうとする。父親とは上手くいっていない。
レギュラーのテストで落ちてしまい、父親からの励ましの言葉にもブチ切れて電話を切った。
地下鉄で電車が脱線すると、すぐに救急セットを取り出してケガ人の為に手当てをしていた。
父親が上層部の指示を無視して助けに来るが、感謝せず仕事の為に来たとして拒んでいた。
最後は父親が犠牲になった事で後悔して、残された無線機を使ってカルヴィンに連絡をした。
・ナム(演:パトリック・ペイシュー・リー)
代表作に『Imperfect』、『Baby Steps』などがあります。
地下鉄の電車に乗っていた若者。大声で母親と電話をしていたが、気付いて声を小さくして話していた。
電車が脱線して止まってしまうと、早く出たくてガラスを壊そうとするも意味がなかった。
一人だけ出ていった乗客から怪物の存在を聞かされ、すぐに登場するとルーカスを守った。
他の乗客が襲われている間にイーたちを連れて逃げ出すが、怪物が追いかけると足止めした。
最後は蹴りで応戦するも効果がなく、怪物によって体を叩きつけられてそのまま死亡した。
・カルヴィン(演:アンディ・チェン)
代表作に『Diamond Dogs』、『Huan tu』などがあります。
鉄道会社の管理官。ウォン部長から結果を出すように言われるが、上司のヘンが対策の説明を聞いていた。
地下鉄で電車が脱線して行方不明になると、すぐに対応しようとするも見つからずにいた。
ウォン部長がやって来ると、少ない予算でのやりくりに限界があるとして彼を驚かせていた。
行方不明になった電車が見つからず、ウォン部長が古い廃線と突き止めるも何もできず。
最後はウォン部長が娘を助ける為に死亡して救助隊を出すが、事件は隠されてしまった。
・ウォン部長(演:ピーター・ユー)
代表作に『Huan tu』、『Last Shadow at First Light』などがあります。
鉄道会社の部長。上司から結果を出すように言われ、部下から少ない予算で限界だと言われている。
娘のジャニスとも上手くいっておらず、レギュラーに落ちて励ますも電話を切られていた。
地下鉄の電車が行方不明になって連絡を受けると、部下たちから現状を聞かされて驚いた。
潰れた病院の下にあった廃線だと突き止め、上層部に掛け合うも拒否されて一人で向かった。
最後は娘を助ける為に囮となって、怪物と戦うも勝てるはずもなくそのまま食い殺された。
感想
[個人的な評価]
本作は『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2023』にて上映されました。
この作品はJ・D・チュアが長編映画初監督作となります。
シンガポールのモンスター映画となりますが、完全に『グエムル/漢江の怪物』を意識したような内容でした。
ただ、シンガポールはまだまだ映画産業としてそこまで大きいワケじゃなく、ノウハウは映画大国と比べてこれからという感じです。
モデルにしている作品のように人間ドラマをやろうとしているのは分かるが、全部が中途半端になってしまっている。
主人公は過去のトラウマを持っていて回想として登場するが、脇役のエピソードもやってしまっているせいで視点が飛んでしまう。
ただ、物語の主人公が中心にいるので軽く触れる程度になってしまい、これが逆に作品のテンポを悪くしている。
あくまで主人公の視点で物語を進めるべきであり、脇役の父親が来たところであまり意味がないように思えました。
並行して物語をやるなら群像劇にしないといけないが、これも高度な技術が必要だから監督デビュー作のJ・D・チュアには無理だと思います。
なので、中途半端な人間ドラマになってしまい、登場人物を退場させるやり方があまりにも雑だと感じました。
視点がブレてしまっているせいで、怪物にも同情の余地を与えるのはやり過ぎて全体的に何がしたいのか分からないです。
あくまで怪物は怪物として描くべきであり、中途半端な同情を与えると主人公の物語が薄まってしまう。
結局、主人公によって怪物の子供たちが燃やされてしまい、なんだか残酷な印象を残してしまう結果にもなってしまった。
やはり、王道の勧善懲悪を貫くべきであり、中途半端にみんなを良く見せようとすると本作のような微妙な作品になってしまう。
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