作品データ
あらすじ
死者と生者の数が逆転し、地上にゾンビが蔓延する世界と成り果てたアメリカのフロリダ州郊外の地下施設。
科学者のサラ博士は研究者たちとゾンビの生態について研究していたが、上官の死亡によって軍人グループの指揮をローズ大尉が引き継いだ。
以前からローズ大尉は人員と物資を無駄に費やす状況に苛立ち、科学者たちに対して高圧的な研究の成果を求める中でギクシャクしていくのだった。
登場人物&出演者
・サラ・ボウマン(演:ロリー・カーディル)
代表作に『No Pets』などがあります。
主人公。地下施設にいる研究者の一人。外の世界で生存者を探している。ゾンビを根絶する方法を模索している。
新たな指揮官となったローズ大尉と意見が食い違い、射殺される前にローガン博士が止めた。
ミゲルのミスでゾンビが兵士を食い殺し、彼自身も噛まれて対処してジョンたちが助ける。
ローズ大尉がブチ切れローガン博士を処刑し、ビリーとともにゾンビの中へ放たれてしまう。
最後はジョンが合流して地上へ出てヘリに乗り込み、無人島にたどり着いて再出発をする。
・ジョン(演:テリー・アレクサンダー)
代表作に『フラッシュポイント』、『陰謀のセオリー』などがあります。
ヘリコプターのパイロット。サラたちと外の世界で生存者を探すが、結果的に空振りに終わって地下倉庫に帰った。
新たな指揮官となったローズ大尉を危険視して、サラたちの役割が薄いとして警告していた。
サラがローズ大尉と口論していた中に入ろうとするが、危険だと分かって黙って引いていた。
悩んでいたサラを呼び出し、神が人間に下した罰として研究が無駄だという考えを話した。
最後はローズ大尉を倒して銃を奪い、サラとビリーたちとヘリで脱出して無人島まで逃げた。
・ビリー・マックダーモット(演:ジャーラス・コンロイ)
代表作に『トゥルー・グリット』、『最低で最高のサリー』などがあります。
無線技師。ジョンと常に行動を共にしている。地下倉庫の宿舎ではなく、ジョンと一緒にトレーラーハウスに住んでいる。
常にブランデーが入ったスキットルを持ち運び、必死に外部との連絡を取ろうとしている。
新たな指揮官となったローズ大尉に設備が古いと文句を言うが、彼の脅しには従っていた。
切断されるミゲルをローズ大尉たちから牽制するが、サラとゾンビの中に放り込まれた。
最後はジョンが合流してヘリコプターまでたどり着いて、ゾンビがいない島まで退避した。
・テッド・フィッシャー(演:ジョン・アンプラス)
代表作に『マーティン/呪われた吸血少年』、『ミッドナイト』などがあります。
地下施設にいる研究者の一人。メガネをかけてサラとは仲が良い。ローガン博士の指示の下でゾンビの研究している。
新たな指揮官となったローズ大尉に設備の古さを直訴するが、逆にブチ切れられてしまう。
ローガン博士が進めるゾンビの制御について試みるが、捕獲したサンプルでは上手くいかず。
サラと一緒にローガン博士の様子を見ると、死んだ兵士の肉を与えている事に驚いていた。
最後はブチ切れたローズ大尉に人質となって、ヘリに乗れないとして見せしめに射殺された。
・ローガン博士(演:リチャード・リバティー)
代表作に『ザ・クレイジーズ』、『ファイナル・カウントダウン』などがあります。
地下施設にいる研究者の責任者で「ゾンビを制御」を研究している。白衣は血だらけでマイペースに研究している。
死体やゾンビを使って平然と実験材料にするが、ゾンビの記憶が蘇っている事に注目した。
ローズ大尉とサラが口論する中に割って入り、地上へ出ようとする意見をあっさり論破した。
お気に入りのバブが知能を身に着けるが、代わりに死んだ兵士の肉を与えているとバレた。
最後は部下の死体をゾンビに与えている事にキレたローズ大尉に見つかり、処刑されていた。
・ミゲル(演:アントン・ディレオ)
代表作に『ナイトライダーズ』、『マスターズ・オブ・ホラー/悪夢の狂宴』などがあります。
地下施設の軍人グループの一人。スパニッシュ系で小柄。サラとは親密な関係ながら現状の生活にストレスを持つ。
外の世界までサラたちに同行するが、極限状態の中でストレスのせいで鎮痛剤を打たれる。
ゾンビの捕獲で道具が外れて仲間が食われ、自身も腕を噛み千切られパニックを起こした。
サラに噛まれた腕を切断された事でゾンビ化しなかったが、暴走して地上へ出ていった。
最後は外にいたゾンビたちをエレベーターに乗せて、食い殺されながら地下施設に入れた。
・スティール(演:ゲイリー・ハワード・クラー)
代表作に『グロリア』、『ガンドッグ/復讐の導火線』などがあります。
地下施設の軍人グループの兵士。大柄で常に笑っている。いつも小柄な友人とともに一緒に行動している。
帰還したサラたちとゾンビを捕獲に行くが、ミゲルのミスで友人が食われそうになりキレる。
ローズ大尉の片腕として大柄な態度を見せていて、会議中にはバカば話をして楽しんでいた。
命令を聞かないサラを射殺するようローズ大尉に言われ、科学者たちと緊張感を生んでいく。
最後はローガン博士の処刑から混乱が始まり、ミゲルが入れたゾンビに囲まれ自殺を選んだ。
・ローズ大尉(演:ジョセフ・ピラトー)
代表作に『カルト教団』、『デモリショニスト』などがあります。
地下施設にいる軍人グループの一人。グループを指揮していたクーパー少佐が死亡し、新たに指揮官となった。
前任のリーダーよりも強硬的な軍人主義で、科学者グループの研究成果を強く要求していた。
サラの反抗的な態度が気に食わず、強硬的な姿勢で射殺する脅しをかけて本気を見せていた。
ローガン博士が部下の死体をバブに食わせていると知り、彼を処刑して地上へ行こうとした。
最後はバブの銃撃で負傷して逃げ回るが、腹部に銃弾を食らい、ゾンビたちに食い殺された。
・バブ(演:シャーマン・ハワード)
代表作に『K-9/友情の輝く星』、『エゴイスト』などがあります。
研究用のサンプルとして捕獲されたゾンビ。他のゾンビよりも知能が高く、ローガン博士のお気に入りとなる。
ゾンビを制御したいローガン博士にとって一番の実験台で、昔の記憶が徐々に蘇っている。
ローガン博士から本や音楽をもらって、人間を食べるという本能が緩和されて大人しくなる。
生前は軍人でローズ大尉たちがやって来ると、敬礼をして銃の扱う事ができる知能を見せる。
最後はローガン博士が死んで悲しみ、銃を手にしてローズ大尉を瀕死状態にして立ち去った。
感想
[個人的な評価]
本作は『カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2019』にて再上映されました。
この作品はジョージ・A・ロメロによる『リビングデッド三部作』の完結編となります。
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』では死体が蘇り、生きた人間の肉を求めて世界が混乱の中に入ってしまう。
次の『ゾンビ』では各地でゾンビが発生して人間が逃げ惑い、生存者たちが安全な場所まで逃げていく様子を描く。
そして、本作ではついに人間よりもゾンビの数が増えてしまい、滅ぶ運命しか残されていないという絶望的な状況にある。
邦題では分かりづらいけど、実際は夜から始まり、夜明けになって、ついに昼間を迎えてゾンビたちが地球を支配していく様子が描かれている。
その中で生き残った人間たちがどのようにして歩んでいくか、ここを重点的に描いたのがジョージ・A・ロメロの思いだろうと言えます。
特に本作は三部作の締めを飾る作品として、人間たちの対立を中心に物語が組み立てており、ずっと緊張感が続いているような状況だと言えます。
いくら安全な場所を確保しているとは言っても、それぞれの考え方があって、必ずしも全員の意見が一致していない。
何よりそれぞれの立場によって考え方が変わっていて、そのせいで衝突を生み出して最悪の結末を迎えてしまうという構図が分かりやすい。
どうやらジョージ・A・ロメロは本作の製作で思い通りに資金調達できず、当初の脚本と違った展開になってしまいました。
結局、予算が前作よりも大幅に減ってしまい、本来やろうとしていたアクション性の高い映画を捨てて人間ドラマに重点を置くしかなかったようです。
しかしながら、この誤算は逆に大きな効果を生む事ができて、緊張感のある会話劇を展開させる事ができたと思います。
更に愚かな人間と知恵をつけていくゾンビとの対比も非常に面白く、その結果も積み重ねた伏線をしっかりと回収してくれました。
確かに前作よりも興行収入が落ちてしまったが、作品としての完成度はジョージ・A・ロメロ自身も認める高いモノとなっています。
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