作品データ
あらすじ
第一次世界大戦の最中である1917年、西部戦線ではドイツ軍の後退が始まり、イギリス軍は好機と考えて追撃に乗り出そうとした。
しかし、それはドイツ軍の罠で、この事実をいち早く最前線の部隊に伝えなければならなったが、通信手段は途絶えてしまっていた。
そこで若い兵士スコフィールドとブレイクの二人が呼び出され、翌朝までに作戦中止の命令を最前線の部隊に送るよう指令が下るのだった。
登場人物&出演者
・ウィル/ウィリアム・スコフィールド(演:ジョージ・マッケイ)
代表作に『ピーター・パン』、『はじまりへの旅』などがあります。
主人公。第8連隊の上等兵。ソンムの激戦を経験している。トムとは友人で信頼を置く。
前線に出ているデヴォンシャー連隊の攻撃を止めるべく、将軍の命令書を届けに行く。
ドイツ兵が退却した前線をトムと向かい、途中の塹壕で危うく生き埋めにされる。
トムがドイツ兵に殺され、彼の遺志を継いで単独で敵陣を突っ切って目的地を目指す。
最後はデヴォンシャー連隊に攻撃中止をさせ、トムの兄に事情を話して黄昏ていた。
・トム・ブレイク(演:ディーン=チャールズ・チャップマン)
代表作に『リピーテッド』、『トレイン・ミッション』などがあります。
第8連隊の上等兵。ウィルの戦友で彼よりも戦地に遅く来ていて激戦を経験していない。
将軍からマッケンジー大佐の攻撃を止める命令書をもらい、ウィルとともに前線を行く。
兄がいるデヴォンシャー連隊を助ける為に意思を曲げず、止めるウィルも無視していた。
途中でドイツ兵が撤退した塹壕で生き埋めにされかけ、ウィルを助けて抜け出した。
最後は撃墜されたドイツ兵を助けようとして腹を刺され、ウィルに託して死亡した。
・レスリー中尉(演:アンドリュー・スコット)
代表作に『007/スペクター』、『ヴィクター・フランケンシュタイン』などがあります。
第8連隊に所属する将校。前線をドイツ軍から必死に守って補充兵を待っていた。
少佐が戦死して現場の指揮を任せられ、ウィルとトムが来ると近道を仕方なく教えた。
最後は柵の向こう側の到着した時、それを知らせる信号弾を渡して彼らの幸運を祈った。
・スミス大尉(演:マーク・ストロング)
近年の出演作に『シャザム!』、『ストックホルム・ケース』がある。
チュエシャー連隊の将校。退却したドイツ兵たちの前線を遠回りで偵察しながら走行する。
死んだトムを運んでいたウィルに遭遇して、彼の目的を聞いて途中まで送っていく。
その際に戦友を亡くしたウィルの気持ちを察して、戦場で倒れない為の助言をした。
最後は目的地の手前で川を渡る橋が破壊され、先を急いでいたウィルを激励した。
・ジョセフ・ブレイク中尉(演:リチャード・マッデン)
代表作に『シンデレラ/2015年版』、『ロケットマン』があります。
デヴォンシャー連隊第2大隊D中隊所属。トムの兄。攻撃の第一波を担っていた。
ウィルにより攻撃中止となって、前線から離れた病院でケガ人の収容を指示していた。
最後はウィルと出会って、弟が死んで慰留品を受け取って、悲しみを堪えて感謝した。
・エリンモア将軍(演:コリン・ファース)
近年の出演作に『メリー・ポピンズ/リターンズ』、『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー』などがあります。
第8連隊がいる駐屯地へ赴いていた。イギリス空軍の情報からドイツ軍の罠を察知する。
前線にいるデヴォンシャー連隊を率いるマッケンジー大佐の攻撃を止める命令書を作る。
最後は地図に詳しく兄がデヴォンシャー連隊にいると知り、命令書を彼の託していた。
・マッケンジー大佐(演:ベネディクト・カンバーバッチ)
近年の出演作に『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『ブレグジット/EU離脱』などがあります。
デヴォンシャー連隊を指揮する。前線から退却したドイツ軍に追い討ちをしようとする。
命を張ってなんとかやって来たウィルから将軍の命令書を無視して、攻撃しようとした。
ウィルの必死の訴えから命令書を読むと、すぐに理解して即刻攻撃を中止させていた。
最後はウィルの頑張りを気にせず、戦争の惨さを語りながら彼を作戦本部から追い出す。
感想
[個人的な評価]
本作は『第92回アカデミー賞』にて撮影賞、視覚効果賞、録音賞を受賞し、作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、音響編集賞、美術賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされています。
他に『第77回ゴールデングローブ賞』にて映画作品賞、監督賞を受賞し、作曲賞にノミネートされています。
戦争映画であるけど、サム・メンデス監督が祖父から聞いた話しから着想を得てオリジナルの作品として作っています。
本作で最も話題となっていたのは、ワンカット風の演出と言えるでしょう。
あくまでワンカット風であって、実際はワンカットではなく、そのような演出となります。
序盤から始まるいつ攻撃されるか分からない中で、将軍の命令書を送り届ける二人の緊張感と緊迫感がしっかりと伝わります。
通常の戦争映画なら必ず敵に遭遇しますが、本作は中盤過ぎまで出てきません。
これは王道のパターンを逆に利用した演出であって、本作に緊張感を与えていると思います。
中盤過ぎまでウィルとトムだけで進んでいくので、そのまま二人が困難を乗り越えていくモノだと思っていました。
しかし、まさかの途中で敵への優しさが仇となってトムが退場するとは思わなかった。
ずっと物語を引っ張って来たので、トムが主人公だと思わせて、実はウィルこそが本作の主人公というミスリードは良かったです。
何かと危なっかしい不穏な空気を持っていたウィルがいつ脱落すると思わせて、トムがまさかの退場はいい意味で裏切られました。
トムの遺志を継いだウィルの必死さが終盤で発揮され、命令無視しようとしたマッケンジー大佐を止めたところは納得できました。
ただ、本作で一番残念だと感じたのは、夜中でウィルが敵から必死に逃げるシーンです。
ほぼ真っ暗で何が起きているのか分からず、こういうシーンは好きじゃなく、せっかく盛り上がった気持ちも萎えてしまいました。
そこさえなければ、本作は最初から最後まで緊張感と緊迫感に包まれただけにもったいないと感じてしまいました。
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