【斬、】VD-730

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作品データ

公開年月 2018/11/24
ジャンル 時代劇
原作 なし
監督 塚本晋也
脚本 塚本晋也
製作 海獣シアター
製作国 日本
鑑賞方法 動画配信サービス

あらすじ

開国か否かで大きく揺れる江戸時代末期、若い侍・杢之進は食う為に藩を離れ、農村で農家の手伝いをして生活していた。
武士としての本分を果たしたいと思いながら、杢之進は隣人のゆうやその弟・市助らと穏やかな日々を送っていた。
そんなある日、剣の達人である澤村が村で仲間を集めて京都の動乱への参戦を目論むと、腕を見込まれた杢之進は誘われるのだった。

登場人物&出演者

都筑杢之進(演:池松壮亮)

近年の出演作に『シン・仮面ライダー』、『ちょっと思い出しただけ』などがあります。

主人公。奉公先がない浪人。ゆうたちの農家にお世話となって、市助には剣術を教える平穏な日々を送っていた。

澤村がやって来てスカウトされて引き受けると、市助も補欠として選ばれると止めていた。
源田と交流を持ったが、市助がボコボコにされ澤村が彼の仲間を斬殺した事に危惧を抱いた。
市助が源田たちに殺害され悲しみ、ゆうから敵討ちを強制されるもビビって澤村が助けた。
最後は逃亡して澤村が斬殺にやって来て反撃で倒すが、心が壊れて山の中へ去っていった。

ゆう(演:蒼井優)

近年の出演作に『おらおらでひとりいぐも』、『スパイの妻』などがあります。

ヒロイン。農家の娘。家を手伝っている杢之進に対して淡い想いを持つ。動乱への参加をあまり快く思わない。

江戸から京都に行こうとする杢之進に戦死するのかと何度も尋ね、彼を止めようとしていた。
杢之進と市助が澤村にスカウトされ、すぐに反論するも出発の朝が延期になって安堵した。
市助が源田の報復で殺害され、剣術を中途半端に教えた杢之進のせいとして敵討ちをさせる。
最後は人が斬れない杢之進が澤村を斬殺すると、立ち去る彼の後ろ姿を見て叫んでいた。

市助(演:前田隆成)

代表作に『もとめたせい』などがあります。

ゆうの弟。農家の長男。杢之進が農家で仕事をしていると、剣術の稽古をしてもらって強くなっていた。

百姓である事に対して強い劣等感を持っていて、杢之進を含めた武士に強い憧れを持つ。
澤村の果たし合いを見て憧れを抱いて、杢之進との稽古で勝てない状況でも引き下がらない。
江戸へ補欠として誘われ気が大きくなるが、出発直前に倒れた杢之進に対して怒りを持つ。
最後は源田たちにボコボコにされ澤村が報復するが、仲間を集められ夜襲を受けて殺された。

源田瀬左衛門(演:中村達也)

代表作に『蘇りの血』、『HiGH&LOW』シリーズなどがあります。

浪人を束ねるリーダー的な存在。農村では悪い噂があって、金品を盗んで罪もない人々を殺害しているという。

実際は悪い人間から金品を奪っていて、同じような目を遭わせ、百姓には一切手を出さない。
家を飛び出した市助に睨まれると、百姓のクセに剣術を使う事をバカにしてボコボコにした。
市助の報復に来た澤村の圧倒的な実力に負け、仲間を集めて農村を襲って復讐していた。
最後は待ち構えた杢之進が木の棒で応戦し、澤村に一瞬で右腕を斬られ、失血死を迎えた。

澤村次郎左衛門(演:塚本晋也)

代表作に『シン・ゴジラ』、『騙し絵の牙』などがあります。

関戸藩の浪人。京都で実際に起きている動乱に参加するべく、腕利きの浪人を探す為に旅をしている。

杢之進たちがいる農村にやって来ると、果たし合いをするも圧倒的な実力で相手を制した。
一息ついたところで杢之進と市助の稽古を見ていると、高い実力を見込んでスカウトした。
農村に来た悪い噂を持つ浪人たちが市助をボコボコにすると、報復として源田以外を斬殺。
最後は人を斬るのが怖い杢之進を追いかけ、斬殺しようとするも腹を斬られて死亡した。

感想

[個人的な評価]

評価 :3.5/5。

本作は『第75回ヴェネツィア国際映画祭』のコンペティション部門にて正式出品された作品。
この作品は他に多くの映画賞で受賞やノミネートされています。
昨今の邦画は感情や行動についてセリフで説明する事が多く、いわゆる「空白」や「間」という手法を使う作品が減っています。
特にメジャーな作品はそのようなセリフがシーンを埋め尽くしていて、だからと言って面白い演出ではないです。
あくまで現代の鑑賞する人たちの需要に応えた演出になっていて、本来ある邦画の「空白」や「間」が消滅しつつあります。
しかし、本作はインディーズの低予算映画に入りますが、監督、脚本、製作、出演と縦横無尽の活躍をした塚本晋也の世界観が如実に表現されています。
武士というのは刀に生きる人々であるが、長い泰平の世ではお飾りになっていたが、幕末になって状況が変わった彼らが先頭に立って日本を変えていく。
その中で奉公ができない武士の主人公が農家でお世話になりながら、長男に剣術の稽古など機会を伺いながら腕を磨いていく生活を淡々と送っている。
そこに江戸から紛争が起きる京都で戦える人間を集める実力ある浪人がやって来て、主人公の運命が一変していく展開が非常に面白い。
セリフをなるべく削って失われつつある「空白」や「間」を巧みに使いながら、人を斬って殺害する事実に向き合う主人公の葛藤が描かれています。
浪人が腕試しする時代劇だと人を斬る事について一つのアクションであり、それ以上に主人公たちが受ける精神的なダメージがほとんど描かれません。
しかし、本作はそこにクローズアップして、主人公の実力は一流であっても、実際に人を斬った事がないから怖くなっていく様子を丁寧に描いていました。
主人公を演じた池松壮亮の一見してワイルドながら、徐々に心が壊れていく姿は非常に上手く表現していました。
ヒロインを演じた蒼井優もすべてを失った農家の娘、主人公の運命を変える凄腕の浪人を演じた塚本晋也もまた素晴らしかったです。
インディーズの低予算時代劇の映画であっても、このような「空白」や「間」を大切にした作品はもっと作るべきだと感じました。

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