【ジェーン・ドウの解剖】RE-2613

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洋画

作品データ

公開年月 2017/05/20
ジャンル ホラー/サスペンス
原作 なし
監督 アンドレ・ウーヴレダル
脚本 イアン・ゴールドバーグ、リチャード・ナイン
製作 フレッド・バーガー、エリック・ガルシア、ほか
製作国 アメリカ
鑑賞方法 レンタルDVD

あらすじ

ベテラン検死官トミーは、同じく検死官の息子オースティンと遺体安置所を営んでいた。
ある嵐の夜、警察から謎の惨殺事件の現場から全裸で見つかった身元不明の美女“ジェーン・ドウ”の死体の検死解剖。
通常の検死だと思われたが、メスを入れて解剖を進めるにつれ、ジェーン・ドウの体内では異常な状態が次々と判明するのだった。

登場人物&出演者

オースティン・ティルデン(演:エミール・ハーシュ)

代表作に『イントゥ・ザ・ワイルド』、『スピード・レーサー』などがあります。

父親のトミーとともに遺体安置と火葬場を経営する。エマという恋人がいるも仕事が優先。

二年前に母親を亡くして以来、父親トミーの事を思って一緒に検死官として働いている。
エマと映画のデートを約束していたが、ジェーン・ドウが運ばれた事でそっちを優先する。
ジェーン・ドウの解剖を進めていくうちに異変に気づき、彼女の正体に疑問を持つ事に。
最後はジェーン・ドウの呪いで父親の幻覚を見て、高いところから落ちて死亡する。

トミー・ティルデン(演:ブライアン・コックス)

近年の出演作に『モーガン/プロトタイプL-9』、『ピクセル』などがあります。

遺体安置と火葬場を経営する。息子のオースティンに検死を教えて死因の特定を質問する。

三代に渡る検死官の家系として伝統を守っているが、時には柔軟にも対応する姿勢を持つ。
ジェーン・ドウの遺体が運ばれて一人で検死しようとするが、オースティンが手伝う事に。
あくまでジェーン・ドウは遺体だと考えて、異変が起きても信じようとしなかった。
最後はジェーン・ドウを助けようとして呪いを受け、オースティンに頼んで殺してもらう。

エマ(演:オフィリア・ラヴィボンド)

代表作に『オリバー・ツイスト』、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などがあります。

オースティンの恋人。本屋で働く。オースティンの仕事に対して興味を持っている。

興味本位で遺体を見ようとするが、忘れる事ができなくなるとオースティンに止められた。
オースティンが検死官として働いている事に不満を持ち、父親の元から出て行くよう勧める。
最後は遺体が出歩くようになった遺体安置所に来て、間違えられて消防斧で殺されてしまう。

バーク保安官(演:マイケル・マケルハットン)

代表作に『シャドー・ダンサー』、『キング・アーサー』などがあります。

殺人事件が起きた家で捜査をする。地下室で見つけた女性死体にジェーン・ドウと名付ける。

神妙な顔持ちでジェーン・ドウをティルデンに運び、彼女の検死をトミーたちに頼む。
トミーとオースティンが死んでいる現場で何が起きたのは分からずに困惑していた。
最後はジェーン・ドウの遺体を郡外に置かず、大学に送って処分を任せる処置をした。

ジェーン・ドウ(演:オルウェン・ケリー)

代表作に『Darkness on the Edge of Town』などがあります。

殺人事件があった家の地下室で見つかった遺体。全裸で上半身が出た状態で土で埋められる。

何者か分からず、運ばれてきたがトミーたちの検死でありえない状態が発覚していく。
次第に彼女は拷問を受けていた事が分かり、何かの儀式で生贄となった事実を突き止める。
更に儀式で使う魔法円を描いた布を飲んでいたが、皮膚の裏側にも文字が書かれていた。
最後はティルデン親子が死ぬと、別の場所へ移送する際に右足の親指がわずかに動いた。

感想

[個人的な評価]

評価 :3.5/5。

本作は全米最大のジャンル映画の祭典『ファンタスティック・フェスト』で最優秀作品賞を受賞しています。
監督は『トロール・ハンター』で大きな話題を呼んだアンドレ・ウーヴレダルが務めます。
更に『28週間後…』などのホラー映画を手がけたセブ・バーカーが視覚効果、製作に『ラ・ラ・ランド』のフレッド・バーガーが務めています。
遺体安置所を舞台にした“モルグ・ネクロテラー”の第一弾として公開された作品である。
本作はリアリティにこだわった描写に力を入れていて、製作陣は実際に取材したロサンゼルス郡遺体安置所からヒントを得ています。
もちろん、検死する過程も事実に則って進んでいるので、説得力のある描写となっています。
ただでさえ、遺体安置所という恐ろしい場所だというのに、身元不明で何者か分からない女性の遺体が謎という点も怖さを引き立たせる。
ホラー映画にとって遺体安置所は打って付けの舞台であるが、本作のように少ない登場人物で怖さを演出するのは難しい。
父親役のブライアン・コックスは非常に良い演技をして、検死官としてあくまで現実的に物事を捉えていました。
一方で息子役のエミール・ハーシュはジェーン・ドウが魔女だと断定し、解剖自体が間違えだと気づく役割を担っています。
親子で分担された役割をそれぞれきちんとこなしていて、物語に緩急をつけていました。
そこに美しい遺体であるジェーン・ドウを演じたオルウェン・ケリーの演技は見事でした。
遺体役というのは簡単なようで実はもの凄く難しく、動く事はもちろん、呼吸すら許されない大変な演技だと言えます。
しかも、本作では全裸で挑んでいる事もあって、そう何度もテイクを重ねられないだろう。
何よりオルウェン・ケリーは非常に美しく、魔女という設定にも説得力を生んでいます。
そして、本作を支えているのはアンドレ・ウーヴレダル監督の優れた演出だと言える。
近代のホラー映画では新たな恐怖を打ち出したジェームズ・ワン監督の上手さが際立っているが、アンドレ・ウーヴレダル監督も負けていません。
映像技術が進歩した現代では安易な方法で怖がらせるタイプが多い中、本作はあくまで静かなる怖さを演出しています。
その気になれば遺体はCGでもいいぐらい映像技術が進歩しているけど、アンドレ・ウーヴレダル監督はリアルにこだわっています。
アンドレ・ウーヴレダル監督の世界観を引き出したブライアン・コックス、エミール・ハーシュ、オルウェン・ケリーの高い演技力がちゃんと作品の魅力に繋がっているのも大きい。
検死官というの職業はかなり特殊であり、一般人の立ち入る事ができない世界だが、彼らにとっては普段通りの一日だったはずが一体の遺体で運命が変わってしまう。
やはり、死を扱う職業というのは決して簡単にこなせるモノじゃなく、そこには様々な重さがあって、簡単に立ち入る事ができない事情もあるのだろう。
本作では「魔女」を根幹に据えているが、決して「死」というのは終わりではない事を監督は伝えたかったと思ってしまう作品でした。

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