作品データ
あらすじ
2101年、世界は大規模な細菌戦により文明が崩壊し、神経中毒でゾンビ化した“ドライ・ピープル”が跋扈する荒廃社会となっていた。
無法地帯ではギャングたちにの仲間であった若い女性のアリスはある日、記憶喪失の男が連れてこられると、家庭崩壊で生き別れとなった父親だとすぐに察知する。
イリスは父親への恨みと慈悲の中で脱出に手を貸し、ギャングたちが追う中で遠く離れた廃墟で暴徒化したドライ・ピープルの巣窟にたどり着くのだった。
登場人物&出演者
・ペロ(演:エステバン・プロル)
代表作に『Tres veranos』、『Cazador, la pelicula』などがあります。
主人公。記憶喪失の中年男性。荒れ果てた大地で目を覚ますと、状況がまったく分からないままさまよっていた。
ドライ・ピープルに襲われると、通りかかったブランコに助けられて世界の状況を説明した。
アジトでグリスたちに捕まると、彼らから拷問を受けて監禁されうもイリスに解放された。
廃墟で空き家に自分の痕跡と妻の首吊り死体で記憶が蘇り、ドライ・ピープルの仲間になる。
最後はドライ・ピープルを率いてアジトを襲撃し、イリスにブランコと荒野に放置された。
・イリス(演:フィーニ・ボッチーノ)
代表作に『Leal, solo hay una forma de vivir』などがあります。
ヒロイン。ギャングたちのアジトにいる唯一の少女。一言もしゃべる事なく連れて来られたペロを見ていた。
グリスとケルドが行っていたペロへの拷問を見ていると、ブランコに強制される拒否した。
監禁されていたペロをなぜか脱走させると、彼が逃げていた空き家に入って過去を思い出す。
ペロが父親で母親を殺した事に納得ができず、ブランコたちに見つけるようお願いしていた。
最後はブランコによるセクハラにガマンできず、彼を裏切って父親と荒野に放置して笑った。
・サラ(演:ヴェロニカ・インテレ)
代表作に『La Memoria del Agua』、『Al Tercer Día』などがあります。
ペロの妻でイリスの母親。ドライ・ピープルに変異する状態になっていて、自力で歩けないほど衰弱していた。
すでに死んでいる状態であるが、記憶を取り戻していくペロの中で何があったのか判明する。
ペロとイリスたちと過ごせる空き家に来ていたが、会話ができないほどに変異が進んでいた。
最後はドライ・ピープルになる前にペロによって首吊りされ、変異する前に静かに死亡した。
・ケルド(演:ガストン・コッチャラーレ)
代表作に『El Clan』、『Ni héroe ni traidor』などがあります。
アジトに住んでいる肥満体の男。飼っている豚のドナルドの世話を担当している。
記憶喪失のペロが連れて来られると、ドライ・ピープルになる事を知っていて待っていた。
楽しみの為に拷問を始めていくと、道具を選んでいる中でハサミを見つけグリスが賛同する。
ペロが脱走してグリスたちと追いかけ、隠れ家で人質にされる矢を撃たれて解放された。
最後はドライ・ピープルを従えたペロの襲撃に応戦し、足を滑らせ鉤爪に引っかかって死亡。
・グリス(演:セルヒオ・ポデレイ)
代表作に『El gauchito Gil: La sangre inocente』、『Tomando estado』などがあります。
アジトに住んでいる中肉中背の男。クロスボウを武器にして、割れたガラスを矢じりにして加工する。
記憶喪失のペロが連れて来られると、すぐに出迎え水を与えながら様子をじっと観察した。
イリスとは寝床を一緒にしていて、過去にうるさいという理由で彼女の舌を切り取っている。
ペロが脱走して廃墟まで追いかけると、他のドライ・ピープルが来て仕方なく引き返した。
最後はドライ・ピープルを従えたペロの襲撃に応戦し、牢に閉じ込められて殺されてしまう。
・ブランコ(演:オラシオ・フォントーバ)
代表作に『La peste』、『El padre de mis hijos』などがあります。
アジトを仕切っている老齢のリーダー。食料調達の為に外へ出て、その時に倒れていたペロを発見して助けた。
記憶喪失になっていたペロに現状を説明すると、アジトに迎えるもそのまま監禁してしまう。
食料調達から帰ってくるとペロと豚が脱走した事に怒っていたが、襲撃を受けて応戦をした。
ペロを追い詰めると、しゃべれないイリスの代わりに何があったのかすべて説明してくれた。
最後はイリスの裏切りでペロと足枷を繋がれ、命乞いをするも彼女に放置されてしまう。
感想
[個人的な評価]
本作は『ヨーロッパ国債ファンタスティック映画際連盟』を含めた多くの映画賞に出品された作品となります。
監督と脚本を務めるダニエル・デ・ラ・ベガは、短編映画で『シッチェス・カタロニア国際映画祭』で話題となりました。
アルゼンチン産の珍しい映画となっていて、かつ低予算と非常に相性の良いゾンビ映画となる。
設定としては近未来であり、世界観としては『マッド・マックス』のヒャッハーがいるような舞台となっています。
アルゼンチンの作品であっても場所は南半球と明言しているので、荒れ果てた大地の撮影ロケとして申し分ないと思います。
世界観や設定については興味深いところがあって、登場するゾンビである“ドライ・ピープル”も悪くないです。
ただ、このドライ・ピープルはあまりにも弱く設定しているせいで、彼らに対する恐ろしさがまったく伝わってこない。
物語の中心となるのは記憶喪失の中年男性で、なぜそのような状況になったのか徐々に解明しながら、彼自身がドライ・ピープルになっていきます。
終盤になってようやく主人公の素性が分かるけど、片手で数えるぐらいの規模だから世界観がなんだか浮いている印象でした。
低予算で作られているので仕方ないが、物語にそこまで深みがなく、登場するキャラクターにも魅力がそこまで感じられなかったです。
そもそも、尺が80分という時点で深い内容は望めないと分かっていたが、ここまで誰でも考えられる展開は期待ハズレとしか言えなかったです。
ジャケットは激しいアクションを彷彿とさせるが、残念ながら爆発シーンはなく、せいぜい銃を数発撃つ程度で基本は殴り合いで地味でした。
主人公が徐々にドライ・ピープルへ変化していく中で、仲違いした娘との絆を取り戻す物語にすればまだマシだったかもしれない。
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