作品データ
公開年月 | 2021/04/03 |
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ジャンル | ヒューマンドラマ |
原作 | なし |
監督 | パオ・チョニン・ドルジ |
脚本 | パオ・チョニン・ドルジ |
製作 | パオ・チョニン・ドルジ、スティーヴン・シアン、ほか |
製作国 | ブータン |
鑑賞方法 | レンタルDVD |
あらすじ
現代のブータン王国、教師のウゲンは歌手になりオーストラリアに行く事を密かに夢見る。
だがある日、上司から呼び出され、標高4,800メートルの地に位置するルナナの学校に赴任するよう告げられた。
一週間以上をかけて険しい山道を上りルナナに到着したウゲンは、現代的な暮らしから切り離された生活を痛感するが、村人たちの温かい歓迎を受けるのだった。
登場人物&出演者

本作が長編映画デビュー作となります。
主人公。教職に意欲がなく、オーストラリアで歌手を目指す。教師として最後の年にルナナ村へ派遣される。
仕方なくルナナ村に向かうと、ミチェンたちと合流して、過酷な道のりに文句を言っていた。
村に到着して村長に帰りたいと話すが、ペムザムの言葉で仕方なく授業をして楽しくなる。
帰る事をやめて村で冬の手前まで暮らし、ヤクの歌まで覚えてルナナの一員として馴染む。
最後はルナナ村を去ってオーストラリアに行くが、バーで堂々とヤクの歌を披露していた。

本作が長編映画デビュー作となります。
ルナナ村のヤク飼い。最後の町に到着したウゲンを見つけると、村長の代理としてシンゲと迎えに来ていた。
山道で苦しんでいたウゲンと違って息一つ切らせず、愛用の青い長靴を自慢げに見せていた。
ウゲンがすぐに帰りたいと言いだして止めようとしたが、村長に説得されて納得していた。
村に馴染んだウゲンに色々と教え、黒板などを作って、彼がルナナの一員として認識する。
最後は村を去るウゲンと町に向かうと、峠で祈りを捧げる彼を変わりように笑みを浮かべた。

本作が長編映画デビュー作となります。
ルナナ村に暮らす女性。村で一番歌が上手いとして知られる。現在は年老いた母親と一緒に暮らしている。
いつも村が一望できる丘でヤクの為に歌を捧げていて、糞を拾っていたウゲンと出会った。
ヤクの糞を山で拾っていたウゲンの為に長老のヤクを与え、ヤクの歌の歌詞も渡していた。
村に馴染んでヤクの歌が上手くなったウゲンが去る事を知って、みんなと寂しいと話した。
最後は去って行ったウゲンの為に手ぬぐいを渡し、ずっと村で待っているとして見送った。

本作が長編映画デビュー作となります。
ルナナ村で暮らす9歳の少女。クラス委員。父親は酒浸り、母親は家を出て、現在は祖母に育ててもらう。
教師を辞退していたウゲンの元にやって来て、授業の時間だとして彼を起こして行かせた。
状況が分からないウゲンにとって頼りになる存在で、将来は歌手になりたいと宣言していた。
ウゲンが冬の前に帰ってしまうと知って、彼に残るように訴えるもダメと知って理解した。
最後は村を去って行くウゲンに手紙をあげて、彼にもう一度戻って欲しいと書いていた。

本作が長編映画デビュー作となります。
ルナナ村のヤク飼い。近くの町に立ち寄ったウゲンを迎えるべく、ミチェンとともに待機していた。
村に必要な物資を購入して出発が少し遅れてしまうと、ウゲンに謝罪してラバを操っていた。
山道を歩いても下り道になかなかたどり着かず、文句を言っていたウゲンにもうすぐと話す。
村に馴染んでギターが届いたウゲンが一緒に歌を歌っていると、子供たちと楽しんでいた。
最後は冬になる前にウゲンを町へ送る為、ミチェンとともにラバを連れて一緒に向かった。

本作が長編映画デビュー作となります。
ルナナ村の村長。近くの町から8日もかかる深い山間にある村で、ヤクを中心に村民56人を束ねている。
遠くからやって来たウゲンを村人総出迎えて、村に到着すると使われていない教室を見せた。
ウゲンがすぐに帰りたいと言われ、ミチェンの言葉を遮って無理強いをしないとして認めた。
実は娘が10歳の時に妻と赤ん坊を亡くしていて、それ以来、ヤクの歌を歌わなくなっていた。
最後は村を去っていくウゲンの為にヤクの歌を歌い、実は作った張本人だとミチェンが説明。
感想
[個人的な評価]
本作は『第94回アカデミー賞』にて国際長編映画賞にノミネートされ、他に数多くの映画賞で受賞やノミネートされています。
この作品は初めてとなるブータン製作の映画となっていて、よく知らない国だからこそ非常に興味深いと鑑賞を楽しみにしていました。
まず、ブータンという国は「世界一幸せな国」とも呼ばれ、これは国策による国民総幸福量を掲げているからだろう。
確かにブータン自体は近代化が遅れており、本作のような舞台になった村ではインフラ整備もほとんどされいません。
それでも国民は手に入る幸せをモットーに、近代化された日本や諸外国とは違った考え方を持っています。
主人公は典型的な外国に憧れる人物で、仕方なく教職をやっていて、それを長官から呼び出されて不便なルナナ村へ派遣されるという。
当初から主人公はイヤイヤで従っていて、村に到着しても感謝どころか、村長に対して早く帰りたいという気持ちを伝えていました。
かなり態度の悪い主人公であっても、村長を含めた村人たちは彼を「未来に触れられる者」として尊敬され、何より必要にされていました。
そこから主人公は村の生活に馴染み、都会と比べて不便な事が多くても、村人たちはノビノビと生きている事に触発されていました。
個人的に田舎の暮らしより都会の暮らしの方が好きですが、人生で一度はこのような場所を訪れてもいいと感じました。
主人公は冬が訪れる前に任期が終わってしまうが、そこで長年の夢だったオーストラリアで歌手としての切符を手に入れます。
鑑賞している側の気持ちとして、主人公に村に残って欲しかったが、そう簡単に諦められる夢じゃないというところも伝わってきました。
ラストでは主人公がオーストラリアのバーで歌を歌っているが、ルナナ村との違いに気づきながら、ヤクの歌を歌っていた姿は印象に残りました。
今回は初めてのブータン製作の映画となりましたが、今後はもっとこのような作品を作って欲しいと感じさせる秀作でした。
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