作品データ
あらすじ
一流の美術鑑定士でカリスマ的オークショニアのヴァージル・オールドマンは、極端に人間嫌いで独身を貫き、唯一女性の肖像画だけを愛していた。
オールドマンは気に入った肖像画が出品されると、相棒のビリーを使い、不正な手段で自分のコレクションにしていた。
そんなある日、若い女性から家具や美術品の鑑定を依頼される姿を見せず、オールドマンは彼女に興味をいだき始めるのだった。
登場人物&出演者
・ヴァージル・オールドマン(演:ジェフリー・ラッシュ)
近年の出演作に『ジャコメッティ/最後の肖像』、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』などがあります。
主人公。美術鑑定士。人間が極端に嫌いで、女性の肖像画を誰よりも愛し収集している。
クレアから査定の依頼をされるが、雑な扱いをされて一度は怒るもまた引き受けた。
当初は衝突していたクレアと似たもの同士だと分かり、徐々に惹かれていってしまう。
ついにクレアと対面して恋に落ちると、彼女を外に連れ出して一緒に住んで引退をする。
最後はクレアやビリーたちがグルで、収集した絵画を盗まれ、絶望するもの彼女を探す。
・クレア・イベットソン(演:シルヴィア・フークス)
代表作に『ブレードランナー2049』、『ネイビーシールズ/ナチスの金塊を奪還せよ!』などがあります。
ヒロイン。広場や人に会う事を極端に恐れる。両親が他界して家財道具を査定を依頼。
特殊な病気からヴァージルに査定を依頼してもなかなか会わず、イラつかせてしまう。
何度か手を引くと言われるが、なんとか和解していくと、次第に彼から好意を持たれる。
ヴァージルがケガをして助けた事から恐怖症を克服し、人前へ出て彼と同棲生活をする。
最後はビリーたちとグルで、ヴァージルの収集した絵画を狙う集団の一人だと判明した。
・ロバート(演:ジム・スタージェス)
代表作に『ラスベガスをぶっつぶせ』、『ジオストーム』などがあります。
修理屋の青年。どんな機械でも修理し、部品の80%あれば再現できるほどの腕前。
クレアの家からオートマタの部品を見つけたヴァージルに驚き、再現できると豪語した。
女性の扱い方も得意で、恋愛をしてこなかったヴァージルにとって先生として教える。
いつも別の女性といて、恋人から疑われ、それを聞いたヴァージルにも疑われてしまう。
最後はクレアたちとグルで、ヴァージルの収集した絵画を狙う集団の一人だと判明した。
・サラ(演:リヤ・ケベデ)
代表作に『ロード・オブ・ウォー』、『シティーハンター/THE MOVIE 史上最香のミッション』などがあります。
ロバートの恋人。バイクに乗っていて、ロバートの仕事終わりに迎えに来ていた。
女性が苦手なヴァージルと挨拶を済ますと、そのままロバートを乗せて食事に行った。
いろんな女性と上手く付き合うロバートに悩んで、結果的にケンカして別れてしまう。
最後はクレアたちとグルで、ヴァージルの収集した絵画を狙う集団の一人だと判明した。
・フレッド(演:フィリップ・ジャクソン)
代表作に『マリリン/7日間の恋』、『ピータールー/マンチェスターの悲劇』があります。
クレアの屋敷で10年間使用人として働いていた。片足が悪く引きずるような歩き方。
二度目に屋敷を訪れたヴァージルを出迎えると、家財道具や絵画について説明していた。
ヴァージルからクレアについての情報と、オートマタの部品を回収するように頼まれる。
クレアが失踪してヴァージルを屋根裏まで連れて行くと、彼女を見つけてもらい去る。
最後はクレアたちとグルで、ヴァージルの収集した絵画を狙う集団の一人だと判明した。
・ビリー・ホイッスラー(演:ドナルド・サザーランド)
近年の出演作に『アド・アストラ』、『判事オリヴァー・ストレート/全米に裁かれた男』などがあります。
ヴァージルの相棒。元々は画家だが、ヴァージルに作品の価値はないと言われている。
長年に渡ってヴァージルと組んで、彼が欲しがっている女性の肖像画を落札していた。
何度かヴァージルに自分の作品を認めて欲しいと言うが、当然のように承諾されず。
ヴァージルが欲しがっていた古い絵画を買い戻し、引退する彼を友人として見送った。
最後はクレアたちとグルで、ヴァージルの収集した絵画を狙う集団の一人だと判明した。
感想
[個人的な評価]
本作は『ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞』にて作品賞、監督賞、美術監督賞、衣装賞、音楽賞を受賞しています。
他に『ナストロ・ダルジェント賞』や『イタリアゴールデングローブ賞』でも受賞とノミネートされています。
ずっと保留にしていた作品だったが、ようやく鑑賞する気持ちになりましたが、予想とだいぶ違う内容でした。
主人公は天才的な美術鑑定人にして競売人だが、とにかく性格が歪んでいます。
たまにこういうタイプの主人公がいて、頑なに自分の生活スタイルを変えない強烈なキャラクターをしています。
本作の主人公であるヴァージル・オールドマンは常に手袋して、物に触る時はティッシュで包んで直接的な事を嫌っています。
この時点でかなりの変わり者だが、更に女性を描いた肖像画が大好きで、自分のオークションでは相棒に参加してもらい、代わりに落札させる面倒なやり方をしています。
一番心が安らぐのは生涯をかけて集めた数々の女性の肖像画という狂気ぶりです。
ただ、そんな堅物だと思われた男が意図も簡単にハニートラップに引っかかる結末はあまりにも寂しいと感じさせられる。
しかし、それは表面的な部分であり、絵画が目的だったとは言え、自分を変えてくれたヒロインを待とうとした主人公にとって、もしかするとバッドエンドじゃなかっただろう。
これに関しては本人にしか分からないが、一方的に寂しい結末と決めつけるのは早い。
日本でもオレオレ詐欺や劇場型詐欺がありますが、本作はもっと長期的なスケールで、そこまでやるのかと思わせるぐらい徹底的にやっていました。
一説ではいつも騙されている人より、頑固者で他者の意見を聞かない人の方が騙しやすいと聞いた事があります。
本作はまさしくその通りで、ずっと他者を信用しなかった主人公が初めて人を信用して、すべてを失う過程がそのままでした。
結局、主人公は「愛」を知ったが、その代償として自分の一部を失ってしまうが、これも何かのメッセージを感じさせる内容でした。
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