作品データ
あらすじ
1906年、満州の氷壁から発見された未確認生命体の化石。
シベリア横断鉄道で移送の際に目覚めた未確認生命体は、次々と乗客を襲っていく。
発見者のサクストン教授と、偶然乗り合わせた医師のウェルズが事件を解明しようとする中、犠牲者の脳から記憶が消さられている事が判明するのだった。
登場人物&出演者
・アレクサンダー・サクストン教授(演:クリストファー・リー)
晩年の出演作に『ホビット/決戦のゆくえ』、『ウィッカーマン/final cut』などがあります。
主人公。満州で類人猿の化石を見つけ、モスクワに運ぼうとすると、ブジャドルフ神父に悪魔のモノだと言われる。
列車の走行中に荷物係の死体が箱にあって、肝心の化石が消えてウェルズ医師と探していく。
類人猿をミロフ刑事が倒して解剖に参加すると、目玉に写った過去の映像に宇宙人と断定。
ミロフ刑事がカザン隊長の銃撃を受けて倒れ、ブジャドルフ神父からイリーナを助け出した。
最後はブジャドルフ神父が操る死人に追われるが、崖下に列車が落ちてなんとか助かった。
・ウェルズ医師(演:ピーター・カッシング)
晩年の出演作に『ビグルス・時空を越えた戦士』、『トップ・シークレット』などがあります。
モスクワ行きの列車に乗ろうとした医師。チケットが取れないサクストンの前で賄賂を渡して簡単に入手した。
チケットのなかったナターシャを個室に匿うが、同室だったサクストンに嫌気が差していた。
荷物係が死んで解剖すると脳の異変に気づき、ナターシャも殺されて同じ症状だと判明する。
サクストンと協力して犯人探しすると、宇宙人に乗っ取られたミロフ刑事の正体を知った。
最後は乗客たちを貨物車両に誘導し、前方の車両を切り離して崖下に落ちず助かっていた。
・イリーナ(演:シルヴィア・トルトーサ)
代表作に『ボクは天使だ!』、『ラ・セニョーラ/砂の愛』などがあります。
ポーランド貴族であるペトロスキー伯爵の妻。夫から預かった黒いダイヤを荷物係がいる貨物車両まで持っていく。
犬が怯えている事を心配していて、著名なサクストンの紳士的な言葉で心を落ち着かせた。
神を冒涜するような言動を注意するブジャドルフ神父の言葉を聞かず、夫と皮肉を口にした。
類人猿の目玉から宇宙から見た地球のイメージを見ると、宇宙人である事を知って驚いた。
最後は死体を操るブジャドルフ神父から逃げて、サクストンに助けられて宇宙人を倒した。
・ブジャルドフ神父(演:アルベルト・デ・メンドーサ)
代表作に『幻想殺人』、『ダーティハンター』などがあります。
東方正教会の神父。駅で泥棒が白目になって死んでいる状況を見て、サクストンの荷物が悪魔だと断定する。
元々はペトロスキー伯爵付きの神父であり、信仰心の足りない彼らに助言するも無視される。
宇宙人に乗っ取られたミロフ刑事の正体に気づき、部下になりたいと申し出るも拒否された。
カザン隊長の銃撃で瀕死状態になったミロフ刑事に近づき、宇宙人を代わりに宿らせた。
最後は死人を使いサクストンたちを追うが、ロシアの命令で脱線させられ崖下に落ちて滅ぶ。
・ミロフ刑事(演:フリオ・ペーニャ)
代表作に『マリア・デ・ラ・オ』、『エル・コンドル』などがあります。
モスクワ行きの列車に乗っていた刑事。駅でサクストンの荷物を狙った泥棒の死体を見て犯人を探っていた。
荷物係がサクストンの荷物の中にいた事から、類人猿が蘇った事実を信じられず捜索した。
ナターシャが類人猿に殺されてしまい、銃撃で応戦するも宇宙人に体を乗っ取られてしまう。
故郷に帰るべく技術者の知識と記憶を吸収して、ロケット研究をしている場所を目指す。
最後はカザン隊長に正体を見抜かれて銃撃を食らい、ブジャドルフ神父に宇宙人が移動した。
・ペトロスキー伯爵(演:ホルヘ・リガウド)
代表作に『海底決戦隊』、『新・荒野の七人/馬上の決闘』などがあります。
ポーランド貴族。妻のイリーナとモスクワ行きの列車に乗っていた。他の乗客と違って特別仕様の車両に乗っていた。
ブジャドルフ神父から信仰について何度か助言を受けるが、あまり信じておらず皮肉を言う。
手に入れたダイヤモンドよりも硬い金属を妻に預けて、荷物係に保管するよう言い渡した。
駅で一度停車してカザン隊長が入ってくると、貴族である事を言って自分の車両に戻された。
最後は乗っ取られたブジャドルフ神父が車両に来て、記憶と知識を吸収されて殺された。
・イェフトチェンコ(演:アンヘル・デル・ポーゾ)
代表作に『さいはての用心棒』、『レオノール』などがあります。
モスクワ行きの列車に乗っていた技術者。個室で持ち込んだチェスを一人で一生懸命プレイしていた。
駒を拾ったサクストンに渡さられると、駅でブジャドルフ神父が見せたトリックを尋ねた。
宇宙人が誰かを乗っ取っていると知ったサクストンたちに、X線で確認するべきと助言した。
自分の個室でまたもチェスを一人でプレイしていると、ミロフ刑事にロケット研究を話した。
最後は故郷へ帰りたい宇宙人が技術を利用しようとして、記憶と知識を吸収されて死亡した。
・ジョーンズ夫人(演:アリス・ラインハート)
代表作に『スカートをはいた中尉さん』、『禁じられた家』などがあります。
ウェルズ医師の助手。細菌学を専門にしている。ウェルズ医師と一緒に行動するが、あくまで付き添うという形にある。
モスクワまで列車に乗る時にウェルズ医師が交渉して、あっさりと個室を獲得していた。
ウェルズ医師がナターシャを助けていた事を知って何も言わず、マイペースに過ごしていた。
列車内で荷物係の死体が発見されると、ウェルズ医師とともに解剖を手伝って異変に気づく。
最後はブジャドルフ神父が持ち去った目玉を探すと、乗っ取られたミロフ刑事に殺された。
・ナターシャ(演:ヘルガ・リーネ)
代表作に『077』シリーズ、『O夫人の背徳3』などがあります。
国際的な女スパイ。モスクワ行きの列車に乗り込むが、チケットがなくウェルズ医師に言い寄って匿ってもらう。
正体を知られないようにウェルズ医師を誘惑して、死人が出ても気にする事なく行動する。
貨物車両まで来たイリーナを見かけると、黒いダイヤを持ってきた事を知って観察していた。
トイレに行くフリをして個室から離れると、貨物車両に行って黒いダイヤを手に入れた。
最後は侵入した類人猿に襲われるが、ウェルズ医師やミロフ刑事の助けが遅く殺されていた。
・カザン隊長(演:テリー・サバラス)
代表作に『終身犯』、『バックファイヤー!』などがあります。
コサック部隊の隊長。モスクワ行きの列車が来る中継駅に滞在していて、政府からの命令を待っていた。
電報で列車に危険な宇宙人がいると聞かされると、部下たちと乗り込んで状況を見ていた。
乗客たちの様子を観察しながら、空間を支配していくと、ミロフ刑事が怪しいと睨んだ。
正体がバレたミロフ刑事に向けて部下と銃撃し、致命傷を与えるも光を奪われて混乱する。
最後はブジャドルフ神父が部下と自身の知識と記憶を吸収され、死人として操られていた。
感想
[個人的な評価]
本作は邦題が3種類存在していますが、今回は最後に付けられた方にしています。
この作品は残念ながら日本では劇場公開されず、ビデオスルーになりました。
サブタイトルにゾンビがついていますが、少し違っていて宇宙人が殺した人間を蘇らせて手下として襲わせているだけです。
当初は中国の満州で見つけた類人猿の化石を発掘した事が原因となって、その中に宿っていた宇宙人が復活して人間を次々と殺害していく。
印象としては『遊星の物体X』を出発点にして、『オリエント急行殺人事件』をベースにしながらラストは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』という感じでした。
体を乗っ取っていく宇宙人が誰になっていのか登場人物が分からない状態で、事件を解決しようとする流れがサスペンスになっている。
宇宙人が登場する時点でSFの要素があって、最終的にゾンビ映画のような主人公たちを襲っていく死体も様々な要素を取り込んでいます。
しかも、この作品は約90分に凝縮しているところに注目するべきであり、個性豊かな登場人物たちも魅力の一つにもなっています。
主人公の人類学者を演じるクリストファー・リーはイギリス紳士らしく、堂々とした立ち振舞いながら、ポーランド貴族の女性に対する接し方がスマートである。
もう一人の主人公とも言える医師を演じるピーター・カッシングも立ち回りが上手く、列車の中で起きていく事件を解決しようとするのも印象的です。
肝心の宇宙人は視線を合わせた人間から記憶と知識を吸収して、肉体がダメになったら別の宿主に移っていく不死身とも言える存在でした。
設定として地球が形成した時期に宇宙人たちがやって来たが、今回の宇宙人だけが取り残されて故郷に帰りたいという気持ちがあったと思います。
技術者からロケット研究を聞き出していたが、最終的に自分の故郷へ帰りたい気持ちが強かったと言えるだろう。
半世紀以上前の作品となりますが、様々な要素が詰め込まれた本作がカルト的な人気を博すのもよく分かる内容でした。
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