作品データ
あらすじ
男は頭部に銃弾を受けながらも、2ヶ月の昏睡を経て、奇跡的に目を覚ました。
すべての記憶を失った男はイシュマエルと名付けられ、女医アイリンの献身的な治療で少しずつ回復し、二人は惹かれ合っていく。
しかし、男が生きていたと知ったインドネシア最大の犯罪組織のボス、リーは彼を誘き出す為にアイリンを誘拐し、イシュマエルは単身アジトに乗り込むのだった。
登場人物&出演者
・イシュマエル/アブディ(演:イコ・ウワイス)
近年の出演作に『わが拳に復讐を』、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』などがあります。
主人公。海岸に打ち上げられた状態で発見される。頭に銃弾を受けて2ヶ月の間も昏睡状態となっていた。
目を覚ますも自分が何者か分かっておらず、自分探しをする為にアイリンを見送っていた。
その正体がリーの育て上げた殺人者だと判明して、繰り出される刺客たちを次々と倒す。
慕っていたベシと、自分を撃ったリカを仕方なく倒し、リーが待つアジトに一人で襲撃。
最後はリーとの対決で倒して、再び病院で治療を受け、アイリンと新たな人生を歩む。
・アイリン(演:チェルシー・イスラン)
代表作に『悪魔に呼ばれる前に』、『May the Devil Take You Too』などがあります。
ヒロイン。ジャカルタから田舎に来ていた女医。2ヶ月も昏睡状態だったアブディにイシュマエルという名前を与えた。
目を覚ましたイシュマエルに片思いをしていて、彼が何者か気になって勝手に連れ回す。
ジャカルタで本格的な治療をするべきだと進言し、彼は残って自分探しするとして待つ。
バスでジャカルタに向かうもボンディたちに捕まってしまい、イシュマエルを釣るエサに。
最後は人殺しをしてイシュマエルに助けられ、病院に入院して、彼と新たな人生を歩む。
・ボンディ(演:ガニンドラ・ビモ)
代表作に『Sang Martir』、『Kamu Tidak Sendiri』などがあります。
取引をしていた別組織のメンバー。脱獄したばっかりのリーを倒そうとした仲間と同行していた。
リーの指示でベシとリカによって仲間を殲滅され、アブディの生存を話して許してもらう。
耳を銃で撃たれてケガすると、病院にいるアブディの情報が本物か確かめる為に向かう。
治療していたアイリンがアブディの居場所を知るとして脅すが、登場した彼に撃退された。
最後はアイリンを連れ去る事になるが、リーの手下にうるさいとして蜂の巣にされて死亡。
・ベシ(演:ヴェリー・トリ・ユリスマン)
代表作に『ザ・レイド』シリーズ、『スカイライン/奪還』などがあります。
リーが育て上げた男性殺人者。メガネをかけていて、伸縮する警棒を獲物にして敵を容赦なく倒す。
取引相手から殺意を受けたリーの指示を受けて、外にいた敵を警棒だけであっさりと倒す。
アブディが生きていたと知って、リーによって刺客として送り出されて彼の前に立った。
喉が乾いたアブディに水を与えると、アイリンを諦めてそのまま逃げるように助言した。
最後は対決して警棒を顔面に食らって、海辺まで歩き出すが、結局はそのまま死んだ。
・リカ(演:ジュリー・エステル)
代表作に『マカブル/永遠の血族』、『シャドー・オブ・ナイト』などがあります。
リーが育て上げた女性殺人者。脱獄したばっかりのリーと同行し、取引相手に対して牽制していた。
外でベシが敵を殲滅すると、合図を聞いて目の前にいた敵をナイフ一本でほぼ殲滅した。
実は裏切りを働いたアブディの処刑を命じられ、彼の頭に向けて銃弾を放っていた。
刺客として送り込まれ、ベシが先に倒され、アブディと戦うもナイフを奪われてしまう。
最後は銃を向けて撃つも殺す気がなく、逆にナイフを食らってアブディに抱かれて死亡。
・リー(演:サニー・パン)
代表作に『大英雄・小男人』、『シャドー・オブ・ナイト』などがあります。
インドネシア最大の犯罪組織のボス。中国系で武術を使う。刑務所に服役するが、手下のおかげで脱獄を果たす。
息子や娘たちと再会を果たすと、取引していた相手を圧倒し、アブディの生存を知った。
ボンディの耳を撃って病院に行かせると、一緒にいたアイリンを誘拐してアブディを待つ。
ベシとリカを送り込むもアブディに倒され、父親として挑む彼に堂々を受けて立った。
最後は両腕を折られ、尖った木の枝が胸を貫き、アブディを道連れにするも失敗して死亡。
感想
[個人的な評価]
本作は『マカブル/永遠の血族』や『KILLERS/キラーズ』のモー・ブラザーズがタッグを組んだ作品となります。
この作品はインドネシアのアクション映画の魅力を惜しげもなく出しています。
なんと言っても、近年のインドネシア映画はイコ・ウワイスを中心としたアクション俳優によって、新たなアクション映画の形を出しています。
イコ・ウワイスが使う武術のシラットは、超実践的な伝統武術であり、これがインドネシア映画のアクションの面白さに繋がっています。
香港映画ではカンフー、日本では空手や柔道、タイではムエタイなど、国によって様々な格闘技や武術がベースになっている。
特にシラットを使ったアクションは非常に生々しく、映像から伝わる痛さが他の映画と比べて段違いである。
同じスタッフで作っている『シャドー・オブ・ナイト』も同じ系統であるけど、本作はもっとシンプルな内容になっています。
ただ、『シャドー・オブ・ナイト』はアクションを生かしたストーリーであるに対して、本作は淡いラブストーリーが根底にあるせいでテンポが非常に悪い。
個人的にはラブストーリーをアクション映画でやってしまうと、相当テンポが悪くなり、主人公の恋人が100%敵に誘拐されるパターンには飽きてしまっています。
中盤からようやくアクションが盛り上がっていくけど、なぜか、こちらもテンポが非常に悪くて、せっかくの「痛さ」や爽快感も上手く引き出せていない。
近年のイコ・ウワイスが繰り出すアクションが劣化してしまっているが、本作はまだまだ彼の本気を垣間見る事ができます。
それにラストボスで主人公を殺人者に育てたリーを演じるサニー・パンだが、思っていた以上に強くかったのはプラスになっていました。
いつもなら、態度だけがデカくて主人公が迫ると一方的に痛めつけられるが、本作の悪役はラストボスというだけに説得力があったと思います。
本作は中途半端なラブストーリーを入れてしまったせいで、純粋なアクション映画の『シャドー・オブ・ナイト』の方が数段面白いと再認識しました。
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