作品データ
あらすじ
空軍パイロットのアレクセイは上官の命令に背いた事で解雇され、航空会社に転職して厳格なベテラン操縦士のジンチェンコから訓練を受けていた。
ある日、アレクセイが操縦する航空機に洋上の火山島から避難通報が入り、被災した人々を救助する為に向かっていった。
ちょうどタイミング悪く島で大噴火が起こり、空港がパニックとなる中でアレクセイとジンチェンコは2機に分かれて遭難した人々を乗せて島からの脱出を試みるのだった。
登場人物&出演者
・アレクセイ・グシチン(演:ダニーラ・コズロフスキー)
代表作に『ハードコア』、『チェルノブイリ1986』などがあります。
主人公。元空軍パイロット。上官の命令に背いたせいで解雇となり、新たに航空会社へパイロットとして転職した。
ルールに縛られるのが嫌いで勝手に行動して、アレクサンドラと付き合うも別れてしまう。
カンウー島での救助をしていると、アンドレウたちと山に取り残された人々を助けに向かう。
旅客機を操縦して火山島を脱出して、貨物機から乗客を移して無謀な作戦を成功させていた。
最後は悪天候の中で難しい着陸を成功させ、父親と和解してアレクサンドラと元に戻った。
・レオニード・ジンチェンコ(演:ウラジミール・マシコフ)
代表作に『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』、『ザ・スパイ/ゴースト・エージェント』などがあります。
航空会社のベテランパイロット。主に新人パイロットの採用テストと訓練を担う。堅物で冗談が通じない。
家にほとんどいないせいで息子から嫌われ、妻から心配されるも疎外感を持ってしまう。
有名人に暴行したアレクセイの監督不行き届きで上司にチャーター便の機長に降格される。
カンウー島で人命救助する息子を待たず、先に出発すると無線で声を聞いただけで安心した。
最後は無謀な乗客の移動を成功させ、生還すると息子から見直され親子の絆が復活していた。
・アレクサンドラ・クズミナ(演:アグネ・グルディテ)
代表作に『Valentinas vienas』などがあります。
航空会社の女性パイロット。駐車場で困っていたところでアレクセイに助けてもらい、彼を車に乗せていた。
訓練生として合格したアレクセイと空港で再会し、積極的な彼からのアプローチで恋人に。
女性がパイロットする事を快く思われていない事に悩み、そのせいでアレクセイと破局した。
カンウー島で人命救助をして先に飛び立つと、アレクセイからの無線を聞いて安心していた。
最後はアレクセイが必死に操縦する姿に心を打たれ、よりを戻して訓練生として再出発した。
・バレラ・ジンチェンコ(演:セルゲイ・ロマノヴィッチ)
代表作に『Laskovyy may』、『The Pitch』などがあります。
ジンチェンコの一人息子。パイロットという職業柄、父親がほとんど家にいないせいで反抗的な態度を見せる。
やりたい放題で大学受験が控えても夜遊びし、父親が注意をしても一切聞く耳を持たない。
上司の処分で1ヶ月のチャーター機に乗る父親から誘われ、初めて一緒の航空機に乗った。
火山島では積極的に人命救助をして、先に父親が脱出して反抗的な態度を見せてしまう。
最後は父親の勇敢な行動に心を打たれ和解し、家に帰ると親子としての絆を取り戻していた。
・ヴィクトーリヤ(演:カテリーナ・シュピツァ)
代表作に『メトロ42』、『プロジェクトジェミニ』などがあります。
ミュンヘン行きの旅客機で乗務員のチーフを務める。アレクセイをひと目で見て気に入って接触的に接していく。
アレクセイがアレクサンドラと付き合っている事も知らず、気を引こうと色々とトライする。
その間もアンドレウからデートに誘われるが、パイロットじゃない彼に興味が一切なかった。
カンウー島でジンチェンコに従い脱出すると、旅客機に移る時にアンドレウの勇姿を見る。
最後は無事に生還を果たした事でアンドレウの勇敢さを認め、ようやく彼と恋人となった。
・アンドレウ(演:セルゲイ・ケンポ)
代表作に『Utomlennye solntsem 2』、『Kenzeli』などがあります。
航空会社の男性乗務員。珍しい存在で気づかれる事が少ないと自虐する。ヴィクトーリヤが気になっている。
出発前に何度もヴィクトーリヤをデートに誘うが、その度に断られても挫ける事なく続ける。
ヴィクトーリヤがアレクセイを狙っている事を知りながらも、諦めずにデートに誘っていた。
カンウー島での救助で山に取り残された人々を助けに向かって、ギリギリで脱出をしていた。
最後は貨物機から人を迎え入れる役を担い、その姿を見たヴィクトーリヤに認められ恋人に。
・ヴィクトール・ニコラエヴィチ(演:ヴィチェスラフ・ラズベガエフ)
代表作に『ガーディアンズ』、『スコルピオン/テロリスト制圧指令』などがあります。
火山があるカンウー島に住むパイロット。火山の噴火で緊急避難が出されるが、その際に妻を亡くしている。
ジンチェンコたちが到着して状況を説明するが、妻の死で動揺して思考が働いていなかった。
火山の溶岩が迫ってくると、ジンチェンコの判断で飛び立つ事になって妻と別れを告げた。
燃料不足となった貨物機から人を旅客機に移す作業に協力し、ジンチェンコと最後まで残る。
最後はロープを伝って旅客機に移動していたが、強い振動を受けて離してしまい落下した。
・ニコライ・グシチン(演:セルゲイ・シャクロフ)
代表作に『光と影のバラード』、『シベリアーダ』などがあります。
アレクセイの父親。元パイロットでルールブックを書くほど業界で有名な人物として君臨している。
息子とは疎遠状態になっていて、空軍をクビになった事すら相談してもらえない状態にある。
カンウー島から脱出した貨物機の燃料が不足し、その対策として航空会社から呼び出される。
息子が操縦する旅客機から無線を聞いていて、乗客を移す無謀な案に対して賛同していた。
最後は無事に旅客機が生還を果たし、翌日に家の前で寝ていた息子を見つけて傍に寄り添う。
感想
[個人的な評価]
本作は『未体験ゾーンの映画たち2017』にて上映された作品となります。
この作品は2016年度でろロシア国内にて興行成績1位を記録しています。
近年のロシア映画のイメージはSFであるけど、本作は自然災害と航空パニックを上手く融合させた作品となっています。
更にロシア映画の特徴でもある絆や愛の人間ドラマをしっかりと盛り込んでいて、アクションとのバランスが絶妙でした。
序盤は少しスローペースで主人公やその周りの登場人物の関係性を描いていて、正直言って少し退屈になってしまいます。
しかし、中盤を過ぎた頃に火山島からの脱出が始まっていくと、一気に作品の雰囲気がガラリと変わって緊張感が高まっていきます。
圧倒的な自然の脅威に人間は無力である事を充分に描きながらも、その中で必死に生き残ろうとする登場人物の努力が伝わってきます。
中盤を過ぎてから序盤とはまったく違う雰囲気だから別物に見えてしまうぐらいだが、丁寧な人間関係を描いているからこそ緊張感が逆に効果的となる。
主人公とヒロインとの恋愛のもつれ、父親と息子の仲違い、一方的な片思いの男と拒否する女など、それがラストでそれぞれ実を結ぶからスッキリします。
さすがに本作は純粋なアクション映画じゃないので派手すぎる場面はないが、リアルに寄った演出は更に緊張感を高めています。
とにかく、本作では空中での緊張感が半端じゃなく、会話劇でごまかす事をしないからテンポも良くて最後まで一気に呑み込まれる。
ただ、ラストで飛行機が着陸する際の演出が少し味気ないところがあって、あっさりと成功させたところに余韻を楽しませる工夫が乏しかった。
それでも絆や愛での問題も一気に解決し、登場人物それぞれがハッピーエンドを迎えられただけでも充分に価値のある時間だと感じました。
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