作品データ
あらすじ
第三次世界大戦後、生き残った指導者たちは戦争の原因となる感情を抑制するべく、精神に作用するプロジアムを国民に服用するように義務づけた。
完璧に管理された都市国家リブリアはこうして平和を手にして、反乱者にはクラリックたちによって処罰されていく。
その中で第1級クラリックのプレストンはパートナーを処刑するが、それによって疑問を持ち始め、プロジアムのカプセルを誤って割ってしまった事で感情を持つようになるのだった。
登場人物&出演者
・ジョン・プレストン(演:クリスチャン・ベイル)
近年の出演作に『パブリック・エネミーズ』、『ターミネーター4』などがあります。
主人公。第1級クラリック。感情違反者をいち早く察知し、レジスタンスを取り締まる。
相棒であったパートリッジが違反者だと知って処刑するも、これがきっかけで疑問を持つ。
その後、誤ってプロジアムのカプセルを落とした事から服用を絶つ日々が続いてしまう。
過去に妻が感情違反で処刑され、違反者でもあるメアリーの影響で更に感情を持ってしまう。
最後は影の最高権力者であったデュポンを倒し、閉じられた世界を再び開く事になった。
・ロビー・プレストン(演:マシュー・ハーバー)
代表作に『ダニエルとスーパードッグ』などがあります。
プレストンの息子。常にプレストンの背後に立っていて、彼の様子を探っている。
プレストンよりも感情がないような言動だが、実はプロジアムを服用していない。
それは母親が処刑された日から服用しておらず、無感情はすべて演技であった。
最後は家宅捜査の際にプレストンが隠していたプロジアムを回収していた。
・メアリー・オブライエン(演:エミリー・ワトソン)
代表作に『奇跡の海』、『レッド・ドラゴン』があります。
感情違反者。捜査によって浮かび上がって、プレストンによって逮捕される。
感じる事は素晴らしいプレストンに説き、彼の心の奥底に眠っていた感情を揺さぶった。
実はパートリッジとは恋人関係であり、彼が感情に目覚めるきっかけを与えた。
最後は法律に従って処刑されるが、それによってプレストンの感情を呼び覚ました。
・ユルゲン(演:ウィリアム・フィクナー)
代表作に『アルマゲドン』、『ブラックホーク・ダウン』などがあります。
レジスタンスのリーダー格。パートリッジと接触し、ファーザーを倒す計画を立てる。
パートリッジの捜査でやって来たプレストンを仲間と認識して計画を打ち明ける。
最後はプレストンに捕まった形になり、支配者が倒されると一斉蜂起をした。
・エロール・パートリッジ(演:ショーン・ビーン)
近年の出演作に『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』、『必殺処刑人』などがあります。
第1級クラリック。プレストンの相棒だが、現在の任務について疑問を抱いている。
感情違反者だとプレストンに気づかれても、それを隠そうとせずに無言の訴えをする。
最後はプレストンによって処刑されるが、これがきっかけで彼に感情を持たせる事になる。
・アンドリュー・ブラント(演:テイ・ディグス)
代表作に『TATARI/タタリ』、『閉ざされた森』があります。
クラリック。パートリッジがプレストンに処刑され、新たなパートナーに就任した。
他のクラリックと違って、一見して感情を持っているように時々笑みを浮かべている。
当初からデュポンから感情があると疑われたプレストンの監視役として任務に就く。
目的は出世する為であり、それを実現する為にレジスタンスの全滅を図っている。
最後は裏切り者のプレストンと対峙するも、感情を消した彼の前に一瞬で敗れ去る。
・デュポン(演:アンガス・マクファーデン)
代表作に『ブレイブハート』、『ソウ3』などがあります。
副総裁。クラリックの頂点に立ち、刃向かうレジスタンスの全滅を推進している。
実は最高権力者であったファーザーは何年も前に死んでおり、影で権力を持っていた。
当初からプレストンの行動に不信感を持ち、プロジアムを服用していない事を突き止める。
プレストンがファーザーと謁見させると騙し、レジスタンスを一網打尽にしようとした。
最後はプレストンと「ガン=カタ」で対決するも、感情を持った彼の前に敗れ去ってしまう。
・ファーザー(演:ショーン・パートウィー)
代表作に『ドゥームズデイ』、『ラン・オブ・ザ・デッド』などがあります。
都市国家リブリアのテトラグラマトン党の党首。感情を廃した世界を構築した張本人。
すでに何年も前に亡くなっており、その存在は政治的に利用される事となった。
最後はプレストンによってデータが破壊され、支配者が消えて変革が始まっていく。
感想
[個人的な評価]
本作は低予算映画ながら、カルト的な人気を博した作品として知られています。
この作品における代名詞である「ガン=カタ」という戦闘術は多大な影響を与えました。
二挺拳銃とカンフーのような武術を組み合わた動きは斬新と同時に衝撃的でした。
世界観は無機質な近未来のディストピアだが、そこに「ガン=カタ」という武術が組み合わさった事で他と違った作品となりました。
残念ながらストーリーとしてはそこまで寝られているワケではありません。
演出のミスがあったり、整合性がなかったり、細かい部分ではミスをしています。
しかし、それを補って余りある魅力を持つ「ガン=カタ」の偉大さがあると言えます。
普通に考えたら、人間から感情を取り除いてしまうと、機械と変わらない状態になります。
そんな機械のような人間が豊かな社会を築けるはずもなく、多様性にも欠けてしまい、明らかにおかしな世界になってしまう。
本作は不自然さがずっと際立っているが、これもカート・ウィマー監督の狙いかもしれないし、低予算だから結果的になったのもしれない。
不自然な世界の中で無感情から感情を抱く主人公、プレストンを演じたクリスチャン・ベールの配役はお見事と言えるだろう。
クリスチャン・ベールは過激な役作りをする俳優として知られるが、本作ではまだまだ知名度が低かったのです。
『アメリカン・サイコ』で一定の評価を得たが、本作のカルト的な人気によって世界中に知られるようになりました。
それと同時にクリスチャン・ベールがアクション俳優として開拓し、後のクリストファー・ノーラン監督の『バットマン』シリーズで主人公を演じる事になりました。
「ガン=カタ」を操る主人公は当然のようにカッコいいが、ラストで黒幕だったデュポンを演じたアンガス・マクファーデンとのアクションは面白いです。
どう見てもアンガス・マクファーデンでは勝てそうにないのだが、しっかりとクリスチャン・ベールの動きに付いて行っていた。
ストーリーはかなり貧弱であるが、それを補う「ガン=カタ」という素晴らしい武術によって本作はカルト映画となりました。
特にラストで繰り広げられる一連のアクションシーンは素晴らしく、何度も観ても面白い場面だと言えるだろう。
その後、カート・ウィマー監督は女性を主人公にした『ウルトラヴァイオレット』を手がけるが、こちらも新たな「ガン=カタ」を観る事ができる。
どちらの作品も何度鑑賞しても楽しめる作品であり、カート・ウィマー監督は良い仕事をしたと頷けるカルト映画でした。
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