作品データ
あらすじ
日給30万円の怪しいアルバイトに手を出し、組織に捕まりとあるダイナーで新人ウェイトレスとして働く事になったオオバカナコ。
しかし、客の全員が殺し屋という特殊なダイナーで、その中で元殺し屋で天才シェフのボンベロは王のように君臨している。
イカれた殺し屋たちが次々と現れ、殺し合いさえ日常茶飯事の狂った世界で、オオバカナコは必死に生き延びようとするのだった。
登場人物&出演者
・ボンベロ(演:藤原竜也)
近年の出演作に『人間失格/太宰治と3人の女たち』、『億男』などがあります。
主人公。ダイナーのシェフを務める元殺し屋。東の組織を束ねたデルモニコに育てられた。
シェフとして一流で殺し屋だけが訪れるダイナーでは、自分が取り仕切る王だと宣言する。
新しく入ったウェイトレスのカナコに苛つき、保管した酒の瓶を隠されて殺せないマヌケ。
デルモニコを組織のナンバー2であるコフィが殺した事に納得せず、彼が殺されても動かず。
最後は暴走した無礼図と相討ちになるが、貯金を渡して店を開いたカナコの元にやって来る。
・オオバカナコ(演:玉城ティナ)
代表作に『貞子 vs 伽椰子』、『地獄少女』などがあります。
ヒロイン。世間から逃げて孤独になった女。何かを変えたくて危険なバイトをして捕まる。
必死な命乞いの末にダイナーのウェイトレスとして働く事になり、掃除しているフリをする。
絶対的な王と語るボンベロにこき使われるが、元殺し屋の彼を相手に一歩も引かなかった。
スキンのトリガーを引いて間接的に殺してしまい、デルモニコ問題に巻き込まれるも逃げる。
最後はボンベロの貯金でグアナファトに店を開いて、自爆したはずの彼が来て出迎えた。
・スキン(演:窪田正孝)
近年の出演作に『初恋』、『銀魂2/掟は破るためにこそある』などがあります。
東のマテバの組織に属するナンバー2。ダイナーの常連で専用の部屋を持っているほど上客。
新しく入ったカナコの鼻唄に興味を持ち、ボンベロの下でこき使われる彼女を心配していた。
別の殺し屋に買われてしまったカナコを10倍の値段で買い、彼女を自由にした良い人に。
母親のスフレに思い入れを持ち、ボンベロが完璧に再現するも必ず異物混入されてしまう。
最後はカナコが完璧なスフレにしたせいで完結し、自爆する寸前にボンベロに殺された。
・キッド(演:本郷奏太)
近年の出演作に『キングダム』、『凛/りん』などがあります。
子供の殺し屋。その正体はホルモン注射や骨格まで変える全身整形で子供の姿をしている。
強引に体を変えたせいで命を縮めているが、もう止められないところまで来てしまっている。
新人のカナコをひと目で気に入って、ずっと頭から離れられず殺したい気持ちが高まる。
仕事に失敗してしまい、ボンベロの声色を使ってカナコを騙してダイナーに入ってしまう。
最後はカナコを殺そうとするが、菊千代やボンベロに止められて仕方なく諦めて帰った。
・ブロ(演:武田真治)
代表作に『七人のおたく』、『御法度』などがあります。
ラテン系のノリでバカ騒ぎをする四人組殺し屋「ロス・チカーノス」のリーダー格。
ジャケットを素肌で着こなすファッションセンス、鍛え上げた肉体を惜しげもなく披露する。
新しく入ったカナコに興味を示して、仲間たちとバカ騒ぎしながら接待を求めていた。
挨拶に来たボンベロからカナコを買うが、10倍の値段で買ったスキンのせいで引く事に。
最後は暴走するキッドに仲間を二人殺されるが、ボンベロの仲裁で仕方なく店を出た。
・マテバ(演:小栗旬)
近年の出演作に『人間失格/太宰治と3人の女たち』、『コンフィデンスマンJP/ロマンス編』などがあります。
東の殺し屋組織を束ねている男。スキンをナンバー2に置く。デルモニコの死を悼んでいる。
単なる事故死したデルモニコに疑問を持ち、ナンバー2であるコフィを最初から疑っている。
最後はコフィによって始末されてしまい、数日後に池で醜い水死体として発見された。
・マリア(演:土屋アンナ)
代表作に『下妻物語』、『さくらん』などがあります。
西の殺し屋組織を束ねている女。花魁を思わせる姿と相撲やヤクザ風の手下を抱えている。
デルモニコの一周忌の食事会にやって来るが、マテバが死んだ事で犯人探しを宣言する。
最後はスキンの残したメモからコフィが犯人と判明するが、無礼図の素早い行動で殺された。
・無礼図(演:真矢ミキ)
代表作に『容疑者/室井慎次』、『HACHI/約束の犬』などがあります。
北の殺し屋組織を束ねている女。組織の幹部は全員女性だが、男装して決めポーズをする。
デルモニコの一周忌の食事会にやって来て、マテバの不審な死について疑問を持っている。
スキンのメモでコフィが犯人だと判明すると、先に動いたマリアを制して殺している。
コフィも始末してボンベロを部下にスカウトするも、拒否されてカナコを連れ出そうとした。
最後は反旗を翻したボンベロに部下たちを殺され、店を爆破した彼とともに道連れにされた。
・コフィ(演:奥田瑛二)
代表作に『棒の哀しみ』、『千利休/本覺坊遺文』などがあります。
南の殺し屋組織を束ねている男。ボスのデルモニコが死んだ事で組織を代わりに束ねている。
デルモニコに育てられたボンベロの忠誠心に敬意を表し、一周忌の食事会を提案していた。
その場に同席していたマテバからデルモニコの不審な死を問われ、仕方なく彼を始末させた。
食事会でスキンのメモから犯人だとバレてしまい、すべてビジネスの為だと主張していた。
最後はマリアに問い詰められ、ボスは一人という口上とともに無礼図に殺されてしまう。
感想
[個人的な評価]
本作は『日本冒険小説協会大賞』と『大藪春彦賞』をダブル受賞した平山夢明の小説『ダイナー』を実写映画化した作品となります。
他にも漫画化とラジオドラマ化のメディアミックスもされている作品となります。
まず、本作で監督を務める蜷川実花が繰り広げる世界観を理解しないと、冒頭から置いてけぼりを食らう事でしょう。
蜷川実花監督は元々が写真家なので、あくまで一枚絵にこだわりを持っていて、色鮮やかな世界観を全面的に押し出します。
そんな本作はまさしく蜷川実花監督の世界観を惜しげもなく出し、登場する人物たちもまた現実にはありえないです。
この作品は完全にファンタジーの世界なので、何が起きても不思議じゃない雰囲気を隠す事なく展開させています。
その為、ストーリー性を最初から最低限にしていて、ぶっ飛んだ登場人物に色鮮やかな世界に投じて魅せるだけに集約されています。
ファンタジーなので登場する殺し屋たちがどんなにぶっ飛んでいても、現実じゃないから驚くべき点は特にありません。
ダイナーのシェフで元殺し屋のボンベロを演じる藤原竜也にとって、蜷川実花監督の作り出す世界観は合っていると思います。
舞台仕込みの必死に大袈裟な演技を魅せる藤原竜也がどんなに現実離れをしたキャラクターであって、それ以上に世界観がぶっ飛んでいるから馴染んでいます。
もちろん、他に登場する殺し屋たちはハイテンションか、独特なこだわりを持っている個性豊かなキャラクターたちはほとんど出オチです。
あくまで一枚絵が映えるような演出が先で、ストーリーはその後に適当な感じで付け足しているから仕方ありません。
ハッキリ言って、本作は90分以内に収めるべき内容なのに、邦画の悪いところで2時間近くもやってしまっています。
クライマックスで繰り広げられるなんちゃってアクションが始まる手前のシーンは、本作で一番の苦痛で退屈すぎる時間を過ごしました。
全体的に面白くないのですが、個性豊かなキャラクターたちの出オチでなんとか間を持たせていたが、普通にストーリーをした中盤過ぎが恐ろしく間延びしています。
どうせなら、ワケの分からない理論で押し通して力業で終わらせた方が良かったし、中途半端にマトモなストーリーをしたのが失敗だったと思います。
こういう作品は音声を消しても楽しめるようにすればいいが、蜷川実花監督が映画を作ろうとしたのが最大のミスだと思います。
蜷川実花監督は映像だけしか取り柄がないんだから、中途半端なストーリーなど作品に盛り込むべきじゃなかったです。
藤原竜也の腹の底から出すセリフと過剰な演技、玉城ティナのウェイトレス姿、スキンのトリガーを引いた窪田正孝、子供オッサンの本郷奏太のキャラクターだけが良かったです。
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