作品データ
公開年月 | 2013/12/20 |
---|---|
ジャンル | SF/ホラー |
原作 | なし |
監督 | マーヴィン・クレン |
脚本 | ベンジャミン・ヘスラー |
製作 | ヘルムート・グラッサー |
製作国 | オーストリア |
鑑賞方法 | 動画配信サービス |
あらすじ
科学者とともにアルプス山脈で気象調査を行っている観測基地の管理人ヤネクたちは、ある日、観測機器故障の為に山の深くまで向かうと、氷河の一角が赤く染まっているのを発見する。
変異した氷河の調査を始めた途端、狂犬病に感染したキツネが愛犬を襲い、治療の為に基地へ戻るも、突如彼らに未知の生命体が襲いかかる。
なんとか生命体を撃退するが、ほどなくして赤く染まった氷河を分析した科学者から恐ろしい事実が告げられるのだった。
登場人物&出演者

代表作に『ルルドの泉で』、『呼吸』などがあります。
主人公。気象観測基地の管理人。アル中寸前というぐらい酒に溺れてだらしない。
機械の故障での調査に出向くが、そこで赤い氷河を見つけて何かを持ち帰ってしまう。
世紀の発見で慎重になる科学者たちが公表を隠すよう言われるが、一切同意しない。
タニアが自分の子を中絶した事をいつまでも根に持って感情を爆発させるも冷静だった。
最後は炎上した基地に帰還するが、愛犬の異形の子を取り上げるタニアを黙って見過ごした。

代表作に『ニック/NICK』シリーズなどがあります。
ヒロイン。過去にヤネクと付き合っていた。現在はお役所仕事で気象観測基地にやって来る。
急遽基地を訪れるという事をヤネクに伝えるが、明らかに不快感を示されても気にしない。
ヤネクから狂犬病の動物がいると連絡を受けて急ぐも、鳥型の怪物に襲われて逃げ出す。
実は過去にヤネクの子供を妊娠していたが、流産していて悲しみを背負っている。
最後は炎上した基地に戻ると、愛犬が生んだ人型の怪物を赤ん坊として取り上げて持ち去る。

代表作に『Die Fälscher』、『Die Vaterlosen』などがあります。
気象観測基地の女性科学者。ヤネクたちが見つけた氷河のサンプルに興味を持つ。
しかし、ヤネクたちが持ち帰ったサンプルの状態が悪く、現地での採取を希望する。
発見した氷河のサンプルから突然変異だと突き止め、あくまで慎重に調べようとする。
大臣と記者を連れて来るタニアたちを急がせるヤネクに反対するも、力ずく黙らせられた。
最後は氷河近くの施設にあったダンゴムシの怪物を見るが、顔に食いつかれて死亡する。

代表作に『Kleinruppin forever』、『A House in Berlin』などがあります。
気象観測基地の科学者。故障した機械を調査するべく、ヤネクとともに氷河へ向かった。
基地に帰ってから氷河のサンプルに興味を持つビルテのしつこさにイライラしていた。
すべてを正直に話そうとするヤネクに反対するが、力の強い彼に敵うはずもなく黙った。
ビルテの顔に貼り付いたダンゴムシを取ろうとするが、間に合わず見殺しとなってしまう。
最後は衛星電話を取りに行くが、ヤネクたちを裏切ると怪物に襲われて食い殺された。

代表作に『Niemand außer mir』、『Phoenix』などがあります。
気象観測基地の科学者。基地の中で年長者という事でヤネクと他の科学者の橋渡し役。
ビルテやファルクと同じく、氷河から採取したサンプルの公表を控えるべきだと主張する。
意見の衝突でファルクと掴み合いになったヤネクたちの仲裁に何度も入っている。
サンプルを隠そうした事を話すも、人が死んでいる状況で大臣がブチ切れて殴れていた。
最後はウルスが基地で羽虫型の怪物が孵り、誤って福に火が付いて火だるまとなって死亡。

代表作に『Zornige Küsse』、『Nicht Fisch, nicht Fleisch』などがあります。
ボディシック大臣とともにやって来たジャーナリスト。ウルスとは仲が良い。
束の間の食事を楽しもうとするが、写真が先だと大臣に言われてお預け状態となる。
気象観測基地に向かう道中に鳥型の怪物に襲われ、パニック状態となって逃げ出した。
基地にたどり着いてからパニックのまま、なぜか泣きながらバナナを食べて大臣に怒られる。
最後はウルスの登場で基地が混乱して燃え上がるも助かり、ヘリにに乗って生還を果たす。

代表作に『Das Pferd auf dem Balkon』、『Risse im Beton』がある。
ボディシック大臣とともにやって来たボディガード。大臣に気に入られて信頼も厚い。
気象観測基地でタニアとヤネクとの電話のやり取りを見ていて少し不信感を抱く。
基地へ向かう道中で鳥型の怪物に襲われている女の子を発見し、銃を構えるも発砲せず。
鳥型の怪物に驚いていると、背後から刺されてしまい、そのまま呆気なく死亡する。

代表作に『狼どもの戦場』、『ミケランジェロの暗号』がなどがあります。
ボディシック大臣とともにやって来た道案内の高齢男性。大臣とは年齢が近いせいで仲良し。
気象観測基地に向かう道中では元気よく山登りをして、大臣よりも体力があると主張する。
鳥型の怪物に襲われると散り散りとなってしまい、結局は時間が経過して基地にたどり着く。
瀕死状態の女の子を助けるべく、太モモにあった生物を取り出して焼くべきだと述べた。
最後はウルスの登場で基地内は混乱して燃え上がるが、なんとか助かってヘリで生還した。

代表作に『Rammbock』、『Die Migrantigen』などがあります。
気象観測基地のデータが古く、それを確認するべく現地に向かおうとする。
のんびりと現地視察しようと記者を伴っていくが、高齢の為に山での歩調が非常に遅い。
危険を知らせるヤネクの連絡を受けて、歩調を早めるも鳥型の怪物に襲われて基地に急ぐ。
基地へ侵入してきたヤギ型の怪物に誰も手出ししない中、勇敢にもドリルで応戦した。
最後はウルスの登場で混乱を招くが、冷静に状況を見て迎えに来たヘリで脱出をした。
感想
[個人的な評価]
本作はトロントとロッテルダムの国際映画祭に出品され、ウィーン国際映画祭のオーストリア映画賞で最優秀男優賞、最優秀音響デザイン賞を受賞しています。
カート・ラッセルが主演した『遊星からの物体X』という映画を知っているなら既視感がたっぷりある作品となります。
なぜなら、本作はそれとソックリすぎるほどの世界観と登場人物の配置となっています。
『遊星からの物体X』は南極が舞台だったが、本作はアルプス山脈で基地以外に人はいない。
機械の故障の為に外へ出ると奇妙な氷河を見つけて基地に持ち帰ると、それから未知の生物が人間を襲い始める。
そのきっかけとなるのはキツネに噛まれた犬であり、当然ながら誰も気づいていない。
もうこれだけ並べただけで『遊星からの物体X』を思い浮かべと人は多いでしょう。
それぐらい酷似した内容であるけど、当たり前だが『遊星からの物体X』とは関係ありません。
ただ、本作はスタートこそ『遊星からの物体X』と似すぎているが、ちゃんとオリジナルのストーリーを用意していました。
寄生された動物や虫はそれらの特徴を引き継いで、新たなるハイブリッドの生命体として生まれ変わるというシステムである。
その為、本作でのクリーチャーたちは『遊星からの物体X』と比べてバラエティ豊かな種類となっていました。
舞台は狭い基地に限らず、怪物がウジャウジャいる外に行動していくので飽きない展開です。
確かに低予算映画であるけど、面白くしようとする工夫が見られるし、何よりダラダラした演出がないのも悪くない。
ただ、主人公と大臣以外のキャラクターが非常に弱く、ほとんどが棒立ち状態になっていたのは微妙でした。
それに『遊星の物体X』と違って死ぬ人数が少ないせいで、今一つ緊張感が足りなかった。
頭数だけで揃えた登場人物は死んで盛り上げるべきであって、それ以外の役目がないから棒立ちになってしまったと思われる。
それにヒロインであるタニアは想像以上に役立たずで、単純に主人公の悲劇さを強調するだけの存在に過ぎなかった。
なのに、最後での行動は明らかに間違っていて、ラストでは世界にとって最悪の女になる行動を起こしてしまうという。
本作は登場人物を上手く減らしていって、追いつめられている感じがもっとあっても良かったと思います。
ラストではあれだけで危機的状況だったはずなのに、なんだかのほほんとした終わり方もなんだか微妙でした。
スタート時点は『遊星からの物体X』だが、中盤以降はオリジナルな展開で意外にも悪くない作品だったと思います。
コメント