【製作委員会方式の問題点】邦画をダメにするクソシステム

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映画のエンドロールを最後まで観ると『製作委員会』という文字が流れる。

近年の邦画は『製作委員会方式』が主流となっています。

その証拠として、2016年の邦画ランキングのベスト10。

なんと『シン・ゴジラ』以外はすべて製作委員会方式なのです。

では、その製作委員会とはなんぞや?

軽く説明したいと思います。

ワタシは2009年5月25日から『脳内ミニシアター改』というブログで映画のレビューを書き続け、現在は2000本近い数を書き溜めています

更新日:2020/11/30

映画を作るのはリスクを伴う

ご存じの通り、映画やアニメを作るには多額の資金が必要となる。

作品がヒットすれば、当然のように利益がたくさん出る。逆にコケたら赤字になり、世間から嘲笑のネタにされてしまう。

利益が出るか、チャラになればいいが、赤字となった時は大変です。

製作した作品がコケてしまうと、それを作った会社の経営が危うくなって、最悪の場合だと倒産する事もある。

その例として輝かしいほどのネタ扱いされるスクウェアがハリウッドスタッフと手を組み、製作費総額167億を投じた『ファイナルファンタジー』があります。
約5,190万ドルの赤字額となって、記録的大不振は当時のギネスブックに掲載されています。

その結果、スクウェアは経理的な危機に陥って映画事業から撤退する事に。

で、ギネス記録となっているのは1995年公開の『カットスロート・アイランド』であり、1億ドル以上の大赤字を出している規格違いの作品です。

映画製作のリスクを回避するシステム

それまで1社による製作方式を取っていた邦画業界だったが、上記のようなリスク、映画業界全体の失速もあって新たな手段が登場する。

これが製作委員会となるのです。

まず、主導権を持つ幹事会社が複数の会社に対して出資を募り、資金リスクを分散する一方、利益が出た場合はこれを出資比率に準じて分配する。

逆にコケた場合はリスクが分散される為、経営難や倒産まで陥る事がない。

簡単に言ってしまえば、リーダーが他の人から金を出してもらい、儲けた時は出した分の比率を分ける。

その代わり、失敗しても少しずつ金を出し合っているのでダメージが少ない。

この手法を有名にしたのは『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』で、当初は劇場映画製作で使われ、その後テレビアニメも採用する流れになる。

特に恩恵を受けたのは『新世紀エヴァンゲリオン』で、メディアミックスによる商業的な大成功を収めています。

製作委員会のメリットとデメリット

製作委員会方式にも良い面と悪い面があります。

しかし、現在では主流となっているのは理由がある。

それを簡単に解説しましょう。

製作委員会のメリット

出資するスポンサーには、テレビ局、広告代理店、出版社、新聞社、レコード会社、芸能事務所など、主にエンターテインメントと関わりが強い企業が占めている。

これだけの会社が参加する目的として、「一つの作品における各種権利ビジネス」が行えるという事。

一つの作品に数百単位の権利が発生するので、出資した企業は各種権利の独占使用権を使い、ビジネス展開すると同時に売上向上も図る。

つまり、出資した企業は得意分野を使って作品を宣伝して、自らの知名度に繋げて他の商品も売上に繋げるというシステム。

製作費の確保が難しい現代の邦画業界では、この製作委員会方式により資金を簡単に調達できるのです。

製作委員会のデメリット

コインには表があれば裏もある。製作委員会方式にもデメリットがあります。

ローリスクでローリターンながら出資した企業は名前を売る事ができる一方、ブランド名は大切なのです。

そうなると、このような事が起きてしまう。

「あのさ。ここのシーン、ウチの企業イメージを損なうから削除して」

こんな注文が1社だけなら対処できるが、これが複数社になると八方塞がりとなる。

結果として、作品の尖った部分がなくなり、全体的にマイルドで退屈な作品の完成です。

出資する企業は作品を単なる商売道具としか考えていないので、完成度よりも企業イメージと最低限の利益だけを追求します。

そして、出来上がるのはクソみたいな作品となるのです。

まとめ

現在の邦画業界は製作委員会方式がないと映画が作れない。

これが現実であり、今後もこのような流れは止まらない。

実写映画はもちろんだが、日本の映画業界を支えているアニメ映画でも当たり前となっている方式です。

しかし、『シン・ゴジラ』は昔ながらの単独の製作会社で作っているので、従来のファンの期待を裏切らない作品が出来上がる。

製作委員会方式の功罪は確かにある。

ただ、現代の邦画業界を支えているという現実がある以上、頭ごなし否定するべきじゃないだろう。

個人的にはガラパゴスと化す日本らしいクソシステムだと思うが、才能のあるクリエイターが海外に流出あるいは育たない要因の一つ。

日本の将来を考えた時、製作委員会方式は徐々に内から殺していくクソシステムだと個人的に思っています。

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