作品データ
あらすじ
厳寒なルーマニアの雪山で疎遠になっていた息子が遭難し、情報局の将校で父親のミルチャが現場へ駆けつける。
離婚した妻や息子の恋人の両親と合流すると、地元の山岳救助隊の探索活動に強く不満を持っていた。
ミルチャは職権乱用で兵士を違法で動員して息子を探索させ、傍若無人な態度で山岳救助隊の警告を無視するのだった。
登場人物&出演者
・ミルチャ・ジャヌ(演:エイドリアン・ティチェニ)
代表作に『エリザのために』、『フィクサー』などがあります。
主人公。情報局の予備役将校。再婚したアリーナが妊娠していたが、息子の遭難を聞いて現場に向かう。
地元の山岳救助隊が懸命に捜索するも見つからず、しびれを切らして情報局の兵士を動員した。
息子を助ける為に傍若無人な態度で他人に迷惑をかけ、息子を見つけるも雪崩で兵士が負傷する。
パワハラで兵士たちを脅すが、息子を見つけるまで任務で、掘り出すまでせずに撤収される。
最後は金で人を集めるが、観光客にも悪態をついて、近くで遭難する男を部下に助け出させた。
・パウラ(演:エレナ・ブレア)
代表作に『Orizont』などがあります。
ミルチャの元妻。すでにミルチャと離婚していて、息子と一緒に暮らしている。
山岳救助隊が見つけられない中、息子と遭難した恋人の両親から霊能者の霊視で希望を見出す。
ついにミルチャが法を破って情報局の兵士を駆り出すが、雪に埋もれていると知って絶望した。
残された音声から息子は雪山を拒んでいたが、恋人に連れ出された事から母親を責めていた。
最後はミルチャが無茶をしていると感じて、ようやく自分のせいだと分かって家に帰った。
・アリーナ(演:ジュディス・スターテ)
代表作に『シエラネバダ』、『Malmkrog』などがあります。
ミルチャが再婚した若い女性。妊娠していて出産間近になっている。二人の家を買って幸せな生活を送る。
仕事の関係上、家を空ける事が多い夫に電話が入ると、上の空で買い物に付き合う態度に苛立つ。
夫が疎遠となっていた息子が遭難していると知り、身重な事から友人の家で待機をしていた。
どうしても夫の事が心配になって現場にやって来るが、パウラの機嫌を損ねるだけしかならず。
最後は無茶する夫に一度見限るが、それでも見捨てられないとして戻って彼を励ましていた。
・ロー(演:ヴィルジル・アイオアネイ)
代表作に『黒いスーツを着た男』、『Tortured For Christ』などがあります。
ミルチャに従う忠実で寡黙な部下。ミルチャの息子が遭難したと知って一緒に現場までやって来た。
山岳救助隊の探索があまり進まない事に対し、ミルチャと一緒に山へ入るも苦戦していた。
ミルチャが脱落してしまうと、山岳救助隊と一緒に残って探索するも成果を上げる事ができず。
駐車されていたミルチャの息子の車をこじ開けて、警報を止めるなど雑用をこなしていた。
最後は金で手伝う人間を集めて一緒に現場へ向かい、ミルチャの指示で遭難した男を助け出した。
・ドル(演:ラドゥ・ポタル)
代表作に『One Step Behind the Seraphim』、『The Cardinal』などがあります。
ミルチャの息子と一緒に遭難した恋人の父親。妻と幼い息子たちを伴ってホテルで待機していた。
山岳救助隊の捜索がなかなか進まず、妻が霊能者に霊視してもらって生きていると主張した。
ガマンの限界に達して兵士を動員したミルチャの権力を知って、早くやるべきだったと話した。
兵士たちが撤収した後、なけなしの金を集め、一緒に探す人を雇ってミルチャと現場に行く。
最後は心身ともにボロボロとなってしまい、春にまた戻ってくると言い残して家に帰っていった。
・フィリップ(演:トゥドール・スモレアヌ)
代表作に『Întâlniri încrucisate』、『Bacalaureat』などがあります。
情報局の兵士でミルチャの部下。上官である大佐がミルチャに借りがあって、それを返す為にやって来た。
兵士と最新設備を持ち出して、山岳救助隊の本部近くに簡易本部を作って捜索を開始していた。
三角測量法や携帯電話の発信をパルス信号で捜索するなど、山岳救助隊よりも精力的に行った。
ようやくミルチャの息子がいる場所を見つけるが、雪の奥深くにいて掘り出す装備がないと話す。
最後は強引なミルチャのせいで雪崩により兵士が負傷し、借りは返したとして撤収させた。
・クリスティアン(演:ヴァレイウ・アンドリウツァ)
代表作に『汚れなき祈り』、『Love 1. Dog』などがあります。
山岳救助隊のリーダー。雪山に遭難したミルチャの息子と恋人の捜索をしている。チームが表彰されている。
すぐに息子を助け出したいミルチャと違い、山の危険さを誰よりも知っていて慎重に捜索する。
なかなか捜索が進まず、人数が減っている事でミルチャにイライラをぶつけられても動じず。
勝手にミルチャが兵士を動員する事にイラつくが、遭難者を探す仕事から協力して情報を提供。
最後は暴走するミルチャを放置するが、別の遭難者を助ける協力してもらうも何も言わず。
感想
[個人的な評価]
本作はNetflixで独占配信された作品となります。
相変わらずNetflixの邦題にやる気を感じられないが、本作は珍しいルーマニア映画となります。
雪山で遭難して救助していく映画は決して珍しくはなく、似た作品だと『バーチカル・リミット』や『エベレスト3D』などがあります。
今回は息子の遭難を知った父親が現場にやって来て、なんとか助け出そうとできる限りの事をやっていくという作品となります。
王道的な展開だと、必死に雪山の過酷さと戦って息子を探す父親に鑑賞している側も応援していくはずでした。
しかし、本作はそんな王道を真正面から殴りつけるような真逆の展開で、主人公は将校としての権力を個人で使います。
本来ならば、プロである山岳救助隊に任せるべきだが、父親は傍若無人な態度で迷惑をかけている事に気付かず悪態をつきます。
とにかく、主人公の立ち回りが自分勝手で法を破って兵士を動員するなど、明らかな職権乱用をしても息子を助け出そうとします。
どう考えても息子たちが勝手に遭難して人に迷惑をかけているのに、父親である主人公は山岳救助隊が探索に手を抜いているとしてキレていた。
あまりにも主人公の横柄な態度に応援する気持ちが失せるが、この立ち回りがあまりにも中途半端すぎたと思います。
どうせなら、主人公を徹底したクズ人間に仕立てて観光客すら振り回すぐらいにすればいいのに、なぜか最後だけちょっといい人にしようとしたのは逆効果でした。
主人公が文字通りのパワハラとモラハラを繰り出し、他人が助けを求めて見捨てるのに、自分が見捨てられるとブチ切れる最悪のクズでした。
やはり、本作は息子の捜索なんて口実にして、徹底した主人公によるクズ人間の極みを見せてくれたら振り切った作品として面白くなったと思います。
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