作品データ
あらすじ
裕福な家庭に生まれ育ち、何不自由ない生活を送ってきた水澤レイは、同性愛者である事を家族に言えず生きづらさを感じていた。
そんなレイはある日、高校時代から想いを寄せていた篠田七恵から連絡が来ると、10年ぶりに再会する。
すると、七恵は夫からの暴力で全身アザだらけの姿にレイが愕然し、人生に絶望した彼女の為に夫を殺害し、二人は行くあてのない逃避行の旅へ出るのだった。
登場人物&出演者
・水澤レイ(演:水原希子)
近年の出演作に『あのこは貴族』、『Malu/夢路』などがあります。
美容整形の女性医師。実家が金持ちで何不自由なく過ごす。レズビアンで女性しか愛する事ができない。
同じレズビアンの美夏と同居していて、誕生日を迎えるに当たってケーキを買っていた。
七恵から10年ぶりの電話を受けると、ホテルに泊まっていた彼女の元までやって来た。
夫から暴力を受けていると七恵に言われると、彼女の為に殺して一緒に逃避行の旅に出る。
途中で出会ったタクシーの運転手とセックスをして、別荘でしばらく七恵を過ごした。
兄の将人に殺人がバレて自首すると決断するが、七恵を捨てる事ができず再び逃避行する。
最後は警察に電話して自首を決断し、七恵が待っているという言葉を受けて笑顔になる。
・篠田七恵(演:さとうほなみ)
ロックバンド「ゲスの極み乙女」のドラマーで、本作が長編映画デビュー作となります。
エリート会社員の夫と二人暮らしをしていた。暴力を振るわれる毎日に体と精神が限界を迎えようとしていた。
過去に奨学金のおかげでお嬢様学校に通い、得意の陸上で県内三位という成績を残していた。
スパイクを盗んで逃亡するが、転んだせいで膝を壊して、治療もできずに退学になった。
レイからの好意を知っていて利用していたが、結局は経済力のある夫の元に行っていた。
夫を殺したレイと逃避行をするが、彼女の兄や兄嫁という味方がいると知ってブチ切れた。
見捨てられないようにレイを誘導して、一緒にまた逃避行をしながら傷のなめ合いをした。
最後は自首を決めたレイが連行されると、待っているという魔法の言葉で希望を与えた。
・水澤将人(演:田中俊介)
代表作に『復讐したい』、『FUNNY BUNNY』などがあります。
レイの兄。実家が金持ちなので何不自由なく育った。妻の悠は妊娠中で子供は三人目となる。
老いた父親とレイとともに亡くなった母親の墓参りに行き、幸せな生活を送っていた。
別荘でレイがいると分かって悠とやって来ると、殺人をした事を知って自首するべきと話す。
七恵を知らないのでレイの罪を重ねない為のアイデアを出し、一緒に出頭しようとした。
最後はレイが七恵と逃避行へ出ると、悠から彼女の行動を正当化される言葉に何も言えず。
・水澤悠(演:鈴木杏)
代表作に『Retuner/リターナー』、『ヘルタースケルター』などがあります。
将人の妻。息子二人がいて、現在は妊娠中。義理の父やレイたちと墓参りにやって来ていた。
レイ別荘に無断で入った事を警備員から聞かされると、将人とともに慌てて来ていた。
テレビでニュースになっている殺人事件の犯人がレイと分かり、将人とともに自首を進言。
出頭しようと車のエンジンをかけると、逃避行に出たいレイの言葉を信じてそのまま渡した。
最後はレイを止めなかった事を将人に言われるが、彼女の行動を正当化させて黙らせた。
・大江美夏(演:真木よう子)
代表作に『感染』、『モテキ』などがあります。
レイと同居していた年上のレズビアン。誕生日を迎える時に風呂でワインを飲んでいた。
ケーキを買ってきたレイと濃厚なキスをするが、七恵を選んだ彼女に捨てられてしまう。
実家からやって来た母親にレイの事を聞かれるが、連絡もなく捨てられたとして察知する。
最後は電話をしてきたレイに感謝をしながら、好きな人といるべきと話して別れを告げた。
・秋葉義男(演:田中哲司)
代表作に『映画 ビリギャル』、『スマホを落としただけなのに/囚われの殺人鬼』などがあります。
田舎のタクシー運転手。ラーメン屋でご飯を食べていたレイたちを見かけてタクシーに乗せた。
元々は東京に住んで家族もいたが、暴力を振るったせいで接近禁止命令を出されていた。
無人駅にいたレイと酒を飲んでいたが、目的はセックスで目的を果たして金を渡した。
最後はレイたちが殺人犯として警察に連絡して、いつもいるラーメン屋で事情聴取を受ける。
・篠田孝太郎(演:新納慎也)
代表作に『HUNGER Z/ハンガー・ゼット』、『レディ・トゥ・レディ』などがあります。
七恵の夫。大企業に勤めるエリート会社員。日常的に七恵への暴力と優しさを繰り返している。
バーで飲んでいたところをレイに声をかけられると、欲求不満を晴らす為に家へ連れ出した。
最後は気持ちよくなって油断すると、レイに割れたグラスで喉を切り裂かれて死亡した。
感想
[個人的な評価]
本作はNetflixで独占配信された作品となります。
この作品は中村珍の同名漫画を実写映画化し、「胸キュン映画三巨匠」の一人と言われた廣木隆一が監督を務めています。
なんと言っても、本作でダブル主演を務めた水原希子と、さとうほなみの体当たり演技が話題になりました。
まず、映画の話題が内容じゃなく、出演者を褒めるようなモノになってくると、基本的にあまり信用できない部分があります。
邦画における体当たり演技は、ほとんどの場合、女優が脱いでいるだけで映画としての完成度はそこまで高くないです。
つまり、そういう映画は作品としての面白さではなく、出演者が脱いでいるという事実しか売りがない事になります。
そうなると、残念ながらこの作品はその部類に入ってしまい、文字だけの脚本で物語を追うと面白くないです。
まず、大前提となる本作における「愛」についての語っている部分がずっと曖昧で、主人公たちだけで完結してしまっている。
レズビアンという一般的じゃない恋愛模様を描くならば、それ相応の説明が必要であり、鑑賞する側を納得させないといけません。
しかし、この作品にはそんなモノがなく、あくまで主人公たちの中だけで勝手に物語が進んでいるだけでした。
結果的に鑑賞する側が物語についていけず、主人公たちの中で盛り上がっているのに、それがまったく伝わってこないです。
この物語で最大のピークが冒頭の殺人であり、逃避行は単なる思い出の旅だけになって、肝心の二人における「愛」が分かりません。
あとは邦画の悪いところで、すべてをセリフで説明していて、本来なら黙っても伝わってくる描写が必要なのに一切ないです。
本作は水原希子とさとうほなみの濃厚な濡れ場のシーンしか話題性がなく、あとは上辺だけの「愛」しかなかった残念な作品でした。
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