作品データ
あらすじ
怪奇系ドキュメンタリーを作ってきたプロデューサーの工藤は、コロナ禍の影響もあって倒産の危機に喘いでいた。
そんな中、工藤の元に1本の投稿動画が寄せられ、それを3人の若者が心霊スポットとされる廃墟を撮影したという内容。
そこには、全身に返り血を浴びたかのような“赤い女”が仁王立ちでこちらを睨んでいる戦慄の映像で、工藤たちは真相を確かめる為に現場へ向かうのだった。
登場人物&出演者
・工藤仁(演:大迫茂生)
近年の出演作に『先生!口裂け女です!』、『福山市長に1日密着してみた』などがあります。
映像制作会社のプロデューサー。コロナ禍の影響を受けて会社が倒産の危機で、映画化して一発逆転を狙う。
大輝たちが持ってきた映像に興奮して、専門家や鬼村の話しを聞き大ヒットすると確信する。
合流して廃墟へ向かうと、霊障が起きて瞬間移動すると鬼村から危険と言われて諦める。
珠緒がと協力しながら死んだ4人をもとに戻そうと奮闘し、別世界の自分を倒そうとする。
最後は琴子の赤ん坊が別世界の自分を食べて解決して元の世界に戻るが、地獄が始まる事に。
・市川美穂(演:久保山智夏)
近年の出演作に『恋するだけのもの』、『真っ赤な星』などがあります。
映像制作会社のディレクター。現在はディレクターとして活動し、工藤が映画を作る事から田代とともに呼ばれた。
久々に工藤たちと組む事になるが拳に力を持ち、暴走する彼を止める役として活躍している。
廃墟へ向かう道中に瞬間移動すると、鬼村が危険だと警告して工藤を説得して引き返す事に。
珠緒が合流して死んだ4人を元に戻す為に協力し、別世界の工藤を拳で応戦して戦っていた。
最後は琴子の赤ん坊が解決して元の世界に戻ったが、地獄の始まりとなって呑み込まれた。
・田代正嗣(演:白石晃士)
近年の出演作に『白石晃士の決して送ってこないで下さい』、『オカルトの森へようこそ』などがあります。
映像制作会社のカメラマン。工藤の会社が倒産寸前という事で、彼に声をかけられて映画を作る事になった。
今回の映像で大ヒットを予感する工藤の言葉に賛同し、職人の如く黙って撮影をしている。
廃墟へ向かう道中に赤い女が出現し、鬼村が刃物で斬りつけられる瞬間をバッチリ撮った。
珠緒と協力して死んだ4人を戻す為に協力し、何があってもカメラをずっと回し続けていた。
最後は琴子の赤ん坊が解決して元の世界に戻るが、すでに地獄となってカメラで捉えていた。
・呉見遥(演:福永朱梨)
代表作に『恋とさよならとハワイ』、『君の膵臓をたべたい』などがあります。
心霊スポットで動画を撮影した若者三人組の一人。今の世界に不満を持ち、心霊スポットに仲間を連れてきた。
面白い映像を撮る為に祭壇を破壊するが、赤い女が出てくるとビビって逃げ出してしまう。
工藤たちと合流して鬼村が霊能者と紹介されると、インチキだとしてずっと否定していた。
実はレズビアンで琴子と付き合っていて、別世界の工藤にレイプされた彼女を探していた。
最後は工藤や珠緒の活躍で琴子と再会を果たし、元の世界に戻るも地獄となってしまう。
・大倉絢音(演:小倉綾乃)
代表作に『のさりの島』、『遠いところ』などがあります。
心霊スポットで動画を撮影した若者三人組の一人。お調子者で心霊スポットに軽い気持ちで来ていた。
祭壇を壊す遥をカッコいいと話すが、赤い女が襲ってくると悲鳴を上げながら逃げていた。
工藤たちと合流しても状況の危険さを理解せず、動画がバズって金が入る事に喜んでいた。
実は過去にレイプ疑惑を持っていて、別世界に行ってからトラウマとして蘇って叫んでいた。
最後は工藤や珠緒たちの活躍で生き返って元の世界に戻ったが、そのせいで地獄と化した。
・柳井大輝(演:梁瀬泰希)
代表作に『シオリノインム』、『雨宿り』などがあります。
心霊スポットで動画を撮影した若者三人組の一人。面白い映像を撮って有名人になろうと軽い気持ちで来た。
怪奇音だけで不満を持っていると、遥が祭壇を破壊して赤い女が出てくると襲われていた。
工藤たちと合流して三人ともカラオケ屋のバイト仲間と話し、怪奇現象に遭ったと説明した。
実は過去に男性の先輩に言い寄られたトラウマを持ち、声が聞こえて精神ダメージを受けた。
最後は工藤や珠緒たちの活躍で生き返って元の世界に戻ったが、そのせいで地獄と化した。
・鬼村伊三(演:木村圭作)
代表作に『積むさおり』、『ダンシング・マリー』などがあります。
霊能者。フレンドリーだが霊障が起こると一変して厳しい言動になる。専門家の紹介で工藤たちに同行する。
合流して笑顔と余裕を持った言動で接するが、否定し続ける遥もちゃんと助けると口にした。
赤い女に斬りつけられ瞬間移動した事で危険を察知し、工藤に引き返すように警告をした。
祭壇を元に戻す為に廃墟へ入るが、別世界の工藤が出現して太刀打ちできず死亡してしまう。
最後は連絡した師匠の珠緒が助けに来て、元の世界へ戻るもその影響で地獄となっていた。
・珠緒(演:桑名里瑛)
近年の出演作に『戦慄怪奇ファイル/超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚”蛇女の怪』、『ジェリー・フィッシュ』などがあります。
鬼村の師匠。華奢なギャルであるが力は鬼村よりも強い。鉄パイプを持っていて攻撃や瞬間移動の為に使う。
鬼村たちが殺されると、工藤たちの前に現れて事情を話しながら元の世界へ彼らを戻した。
映画収益の4割と引き換えに死んだ4人を元に戻すべく、琴子の協力を得て別世界へ行く。
別世界の工藤を事前に用意した結界に追い詰めるが、攻撃しようとして過去へ飛ばされた。
最後は琴子の赤ん坊が解決させて元の世界に戻ったが、すでに地獄となって呑み込まれた。
・赤い女/北条琴子(演:南條琴美)
本作が長編映画デビュー作となります。
廃墟にいる全身が赤い女。心霊スポットの為に来た遥たちの前に現れると、瞬間移動しながら追いかけた。
映画化しようとする工藤たちを影から見ていて、説明する専門家や霊能者に影響を与えた。
工藤たちが瞬間移動で廃墟へやって来ると、鬼村たちが死亡して珠緒が助ける時に現れた。
その正体は遥の恋人で過去に廃墟で別世界の工藤にレイプされ、異形の赤ん坊を産んでいる。
最後は別世界の工藤を赤ん坊が倒した事で生き返って、元の世界に戻るも地獄となっていた。
感想
[個人的な評価]
本作は『戦慄怪奇』シリーズにおける完結作となります。
この作品は白石晃士がシリーズで監督、脚本、出演を務めています。
ついに長らく続いた『戦慄怪奇』シリーズの完結となるが、それに相応しいと言えるほど濃い内容となっています。
上映時間が90分未満と言っても、非常にテンポが良く展開がコロコロと変わっていくので、いい意味で長く感じます。
今まで白石晃士監督が身につけた技術を総動員しており、特に瞬間移動する際の編集が上手く素直にスゴイと言えます。
このシリーズは超低予算で作られているのは間違えないけど、脚本や演出次第で面白くなる教科書と言える作品でもあります。
もちろん、シリーズの顔である工藤、市川、それに監督自ら演じる田代の三人は安定した存在感を出しています。
動画を送った三人はあくまできっかけなので目立つほどじゃないが、しっかりと今どきの若者として象徴的な役割を果たしていました。
霊能者の鬼村も基本的にいい人で、これまで出てきた霊能者の中で最も親近感があるけど、頼りないところも良かったです。
そして、なんと言っても終盤に登場する鬼村の師匠である珠緒のキャラクターが素晴らしく、見た目のギャップから強烈な存在感がありました。
濃いキャラクターたちもしっかりと存在感を出していて、白石晃士監督が好きなニョロニョロした力も健在でした。
何より面白いのはメインの舞台となる廃墟こそが、あの『カメラを止めるな!』のロケ地になっているところも面白い。
この作品を真面目に鑑賞するべきじゃなく、個性豊かな登場人物や上手い編集、ツッコミどころ満載の世界観を楽しむタイプである。
これでシリーズが完結になるのは寂しいですが、完結作に相応しい集大成で白石晃士監督の凄さを再任視させてくれました。
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