作品データ
あらすじ
母校で教師をしている「僕」は、ふと高校時代のクラスメイト・山内桜良と一緒に過ごした数カ月間の思い出を甦らせていた。
高校で図書委員をしていた地味な「僕」は、病院で『共病文庫』と名付けられた闘病日記を偶然拾った事で、それを書いている人気者のクラスメイト・桜良の秘密を知ってしまう。
桜良は重い膵臓の病気を患い、余命がわずかで親友の恭子さえ知らない秘密であったが、家族以外は誰も知らない秘密を共有した「僕」と急速に距離を縮めていくのだった。
登場人物&出演者
・「僕」/志賀春樹(演:北村匠海)
代表作に『スクロール』、『そばかす』などがあります。
主人公。読書好きで常に一人で過ごしている。他人にまったく興味がなく周囲の目を一切気にしない。
病院で偶然桜良の「共病文庫」を拾って彼女の病気を知ると、仲よし君として巻き込まれる。
図書委員になった桜良によって振り回されるが、次第に彼女へ興味を持って何かと心配する。
一時的に退院した桜良との旅行を予定し、通り魔によって刺された彼女の死を知ってしまう。
最後は1ヶ月後に桜良の家を訪れ、「共病文庫」を読んで初めて号泣をして気持ちを出した。
・山内桜良(演:浜辺美波)
近年の出演作に『シン・仮面ライダー』、『やがて海へと届く』などがあります。
ヒロイン。クラスで一番の人気者。いつも明るく振る舞っていたが、実は重い膵臓の病気で1年の命しかない。
偶然志賀に「共病文庫」を拾われ病気を知られるが、普通に接してくれる事から仲良くなる。
残り少ない時間を一生懸命過ごそうと志賀を巻き込んで、やりたい事をすべて達成していく。
ついに膵臓の病気が最終ステージになり、一時的な退院するも通り魔により殺されてしまう。
最後は死ぬ前に図書館へ志賀と恭子への手紙を書き、彼らの中でずっと生き続ける事になる。
・滝本恭子(演:大友花恋)
代表作に『案山子とラケット/亜季と珠子の夏休み』、『散歩時間/その日を待ちながら』などがあります。
桜良の親友。中学から桜良とは非常に仲が良く、悪い虫がつかないようにずっと監視するぐらい嫉妬深い。
クラスの委員長を桜良にオススメして付き合わせるが、結局別れて見る目がないと言われる。
桜良と志賀が仲良くしている事を許さず、常に睨みを効かせるぐらい敵意むき出しにする。
病院で志賀と鉢合わせして気まずい状況になり、桜良の惑わせる言葉を真に受けてしまう。
最後は桜良が通り魔に殺された事で病気の事を知らず、その後も志賀に微妙な気持ちを持つ。
・ガム君/宮田一晴(演:矢本悠馬)
近年の出演作に『映画 賭ケグルイ/絶体絶命のロシアンルーレット』、『新解釈・三國志』などがあります。
志賀と桜良たちのクラスメイト。常にガムを噛んでいて持ち歩いている。フレンドリーな性格を持つ。
志賀と桜良の噂が立っていた時に注目して、体育の授業で声をかけて真相を聞こうとした。
二人の間には何もないと言われてもニヤニヤして、志賀にガムをあげようとして断られた。
志賀の上履きがトイレのゴミ箱に捨ててあると発見し、手渡しガムを勧めるも断れられた。
最後は桜良が桜を見たい事から志賀に協力して見つけ出し、ガムを勧めて受けてもらい喜ぶ。
・栗山(演:森下大地)
代表作に『青の帰り道』などがあります。
志賀が教師として赴任した母校の男子生徒。読書好きで常に一人でいるような地味な生徒。
図書館の老朽化で本の整理をする為に手伝う事になり、志賀のデータが完璧だと褒めていた。
志賀から整理を手伝った桜良について過去話しを聞かされ、興味を持って親身に聞いていた。
桜良が最期に何を伝えたかったのか気になるが、志賀も聞けずじまいとなった事を知った。
最後は図書館の本の整理が終わると、クラスメイトの女子に好かれていると志賀に言われた。
・宮田一晴(演:上地雄輔)
代表作に『クローズZERO』シリーズ、『ドロップ』などがあります。
志賀や桜良たちのクラスメイト。12年後では恭子の結婚相手になっていて、同じ花屋で一緒に働いていた。
結婚式を控えている中で招待状を出していたが、誰も予想しないような状況に笑顔を見せる。
志賀が結婚式会場までやって来ると、ちょうど彼を見かけて友人のように彼を出迎えていた。
緊張するという意味で強引に恭子のいる部屋まで連れて行くが、またもガムを渡そうとした。
最後は手紙を受け取った恭子が号泣して膝から崩れると、ハンカチを持って拭こうとした。
・滝本恭子(演:北川景子)
近年の出演作に『ラーゲリより愛を込めて』、『大河への道』などがあります。
桜良の親友。12年後には花屋として結婚相手となった一晴と経営する。結婚式を挙げる予定で招待状を出している。
花を届けている時に志賀を見かけるが、招待状を出しても返事をもらえずに困惑していた。
またも志賀を見かけて追いかけると、彼が母校で教師している事を知るも声をかけられず。
結婚式が始まる直前に一晴が志賀を連れてくると、桜良が遺した手紙を渡されて読んでいた。
最後は手紙から真実を知って号泣し、桜良から志賀を友達となるように言われ承諾をした。
・「僕」/志賀春樹(演:小栗旬)
近年の出演作に『マイ・ダディ』、『ゴジラvsコング』などがあります。
学校の教師。司書の資格を持っている。図書館の老朽化で取り壊しが決定し、教頭から整理を頼まれる。
教師になって12年が経過し、母校に赴任してから1年だが自分の適性に悩んで退職を考える。
図書館の本を整理する中で手伝う学生に過去の話しをして、回想しながら当時を思い出す。
桜良が残した「共病文庫」を読み返し、彼女が遺した手紙から恭子たちの結婚式に来て渡す。
最後は桜良が遺した言葉から退職を考え直し、改めて学生たちに向かい合う事を決めた。
感想
[個人的な評価]
本作は住野よるによる同名小説を実写映画化した作品となります。
この作品は他にアニメ映画や朗読劇などメディアミックスを展開しています。
残念ながら小説の方は一度も読んだ事がないし、他の媒体で見た事がないので今回の映画版で初めての鑑賞となりました。
強烈なタイトルからどのような内容かまったく分からず、邦画という事でずっと意識的に避けていました。
しかし、実際に鑑賞してからもっと早く観るべきだったと思うぐらい、この作品は非常に自分の中で刺さっていました。
ヒロインが重い膵臓の病気で余命いくばくもない状態ながら、必死に生きようとする姿が非常に眩しく感じました。
そして、本作で最も共感したのは主人公の考え方と性格であり、まさに今の自分を見ているような感じでした。
なので、いつもは共感という事をあまりしないタイプである自分だが、本作については素直に受け入れる事ができました。
他人に興味がなく読書が友達の主人公に、クラスで一番の人気者が声をかけて、共通の秘密を持った事で親密になっていく青春映画でした。
短く残り少ないからこそ思い切って一日一日を大切にするヒロインと、周囲の目をまったく気にしない主人公は正反対な存在と言えるだろう。
あくまで自己完結で何事も済ます主人公と、他人と共有して巻き込む事で楽しむヒロインの純愛ストーリーは本当に胸を打たれました。
単なるラブロマンスではなく、一人の人間としてお互いに足りない部分を求めていく姿は強く自分に刺さってしまいました。
これは滅多にない事であるけど、ここまで自分と似たようなキャラクターの主人公がどのような気持ちになっているか分かってしまう。
そこに笑顔で踏み込んでくるヒロインのやり方に関して、もしかすると自分が求めているモノかもしれないとさえ思わせる。
男女であるけど、それ以上の人間として好きになったところは、下品さが一切ないから本当に憧れるような物語でした。
邦画はたまに大当たりする事があるけど、本作はその中で少ない一例であり、原作である小説が読みたくなりました。
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