作品データ
あらすじ
常日頃から恋人である高木からDVを受けていたアキコはある日、役者になる為にワークショップを受講したいと彼に話す。
しかし、当然のように罵倒された挙げ句、殴る蹴るの暴行を受けた後、アキコの携帯電話に「ワークショップのご案内」が届いた。
役者になりたいアキコはワークショップに向かうと、そこには講師の江野と参加者が集められており、彼らは各々殺したい人物を確実に殺す為の2泊3日の訓練を開始するのだった。
登場人物&出演者
・江野祥平(演:宇野祥平)
近年の出演作に『さかなのこ』、『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』などがあります。
「殺人ワークショップ」を開催する講師。大金と引き換えに殺したい相手を望むような形で実現させる技術を持つ。
ワークショップを始めると、一人ひとりの動機を聞いて殺害方法について淡々と語っていた。
ナイフを刺す練習でブチ切れて、意見したユウマを試験台にして運命共同体を作っていく。
ヒデトシが目的を果たして死んで放置し、エミの裏切りに遭うも逆に元恋人と追い詰めた。
最後はアキコの裏切りで二階から落とされるが、いつの間にか姿を消して交差点に消えた。
・モリアキコ(演:木内彬子)
本作が長編映画デビュー作となります。
同棲していた恋人の高木から日常的に暴言と暴力を振るわれている。抵抗できずに止むまで待っている。
江野のワークショップに参加して、ユウマを刺し殺す事で運命共同体となって覚悟を決める。
ヒデトシの復讐で同僚を殺すが、エミが元恋人の殺害を止めると気持ちを汲んで逃した。
エミと元恋人を追い詰める江野を裏切って、スコップで殴って二階から落として家に戻った。
最後は寝ていた恋人を包丁で刺していき、肺を刺して苦しんで死ぬ姿を見て笑顔を浮かべた。
・エミ(演:西村美穂)
本作が長編映画デビュー作となります。
「殺人ワークショップ」に参加する女性。年下の男性と付き合っているが、彼からそのように思われていない。
男性にキスしようとして顔を叩かれ暴言まで吐かれてしまい、怒りから殺したいと考える。
江野のワークショップで怒られていたが、ユウマを刺す時に率先して行動して認められる。
ヒデトシの復讐で同僚一人を倒し、自分の番になると元恋人に情が移って裏切ってしまう。
最後は江野にボコボコにされるも裏切ったアキコに助けられ、元恋人とよりを戻す事になる。
・ヒデトシ(演:徳留秀利)
本作が長編映画デビュー作となります。
「殺人ワークショップ」に参加する男性。バイト先の同僚で友人がイジメで自殺し、それに対して怒りを持っている。
イジメた二人の同僚への義憤を持っていて、友人の為に代わりとして恨みを晴らそうとする。
江野によるワークショップでナイフが上手く使えないとして、江野からブチ切れられていた。
実際に友人を殺した同僚の家まで謝罪するように迫るが、逆に追い詰められて暴行を受けた。
最後は同僚一人を刺し殺すが、もう一人に腹を刺され、アキコたちが来るも静かに死んだ。
・ミサキ(演:井ノ川岬)
本作が長編映画デビュー作となります。
「殺人ワークショップ」に参加する女性。毎日仕事をして家にお金を入れているが、妹は仕送りだけで生きている。
チヤホヤされる妹と違って恩恵をまったく受けない為、すぐにでも殺したいと思っている。
江野によるワークショップでナイフを刺す練習では、他の参加者と同じく怒られてしまう。
ユウマを縛ってナイフで刺すと、本物だと分かって吐いたが、その後は何度も刺していた。
最後はみんなが寝た時に逃げようとしたが、江野に耳を切り落とされ、首を締められて死亡。
・アサミ(演:伊藤麻美)
本作が長編映画デビュー作となります。
「殺人ワークショップ」に参加する女性。ホストと付き合っていたが、別の女と結婚して子供を作って捨てられた。
参加した理由は不公平な扱いされた事であり、結婚相手と子供、それに元恋人を殺したい。
江野によるワークショップが始まると、ナイフを刺す練習では他の参加者同様に怒られる。
ユウマがナイフを刺す為に縛られ、本物だと分かって他の参加者と同じく普通に引いていた。
最後はみんなが刺している中で一人だけ拒否し、それを見た江野に首を締められて死亡した。
・ユウマ(演:杉木悠真)
本作が長編映画デビュー作となります。
「殺人ワークショップ」に参加する男性。普段から犬や猫を殺してきたが、慣れてしまって不満を持っている。
人間を殺したい気持ちが高まっているが、捕まらない為の殺人方法を学ぼうとやって来た。
ナイフを使って刺す練習で江野から強く注意され、動物を殺してきた事について聞かれた。
実際は毒薬を使って動物を弱らせナイフで刺していたと話し、練習はいらないとブチ切れた。
最後は他の参加者が慣れる為に縛られ、本物のナイフに何度も刺され、そのまま死亡した。
感想
[個人的な評価]
本作は低予算ホラー映画で活躍する白石晃士が監督と脚本を務めています。
この作品は役者や監督を養成する専門学校「ENBUゼミナール」が製作に参加し、生徒も実際に出演しています。
宇野祥平以外は専門学校の生徒である事から無名であり、全員が本作において長編映画デビュー作となっています。
あくまで専門学校での卒業作品であるが、これを長編映画化にして宇野祥平が参加するような形になっています。
どうやら元々が白石晃士監督が講師をしていた縁から作られ、卒業作品を映画として変えたような感じになっています。
まず、冒頭からの女性が同棲する恋人から暴言と暴力を受けるシーンがあって、リアルさを出すべく実際に叩かれています。
ずっと頭を叩いているような状態であるが、そこから押し倒して暴力を続けていくが、お尻を蹴るか頭を平手で叩くか、ティッシュ箱で頭をぶっているだけ。
本来なら顔面や腹なんかにも手と足が出るはずなので、中途半端なリアルさになって微妙な印象になってしまいました。
それにこのシーンがそこまで重要かというと、ちょっと表面的すぎたせいで、単純に胸糞だけでやられている側の心理状況が伝わってこなかったです。
そもそも、白石晃士監督はモキュメンタリーが一番得意であって、本作のような異様な雰囲気で描写していく展開とは違っています。
タイトルから分かるように「殺人ワークショップ」をやっていくが、その中で講師を務める宇野祥平が演じる江野祥平が圧倒的でした。
他が素人の生徒であるから演技力はそこまで高くないのは仕方ないにしても、その差があまりにあるせいでチグハグな印象を持ちました。
殺人に対して素人である参加者たちと、すでに何回も行っている江野祥平とは経験値が違っていますが、これは役者としての一面にも繋がっています。
あくまで江野祥平というキャラクターがいて成立している作品であるので、彼以外のシーンはテンポが悪く退屈すぎたところが痛かったです。
それでも白石晃士と宇野祥平とのコンビは健在であり、絶大な信頼関係があるからこそ本作が作品として成立していると感じました。
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