作品データ
あらすじ
ロシア初の宇宙ステーション「サリュート7号」は1985年、突如連絡が取れなくなる。
このままでは地球に落下する危険性がある中、唯一の手段はステーションに宇宙飛行士を送り込んで手動でのドッキングで直接修理するしかなかった。
技師のヴィクトルと退役したパイロットのウラジミールは、サリュート7号を修理するべく危険なミッションを受けるのだった。
登場人物&出演者
・ウラジミール(演:ウラディミール・ヴドヴィチェンコフ)
代表作に『バイオソルジャー』、『裁かれるは善人のみ』などがあります。
主人公。軍を退役した元パイロットで宇宙飛行士。現役を引退して若手の教育をしている。
宇宙遊泳中に幻覚を見た事で医者から宇宙飛行を禁止され、仕方なく後世の教育をする。
サリュート7号の事故で唯一ドッキングできる技術を買われ、再び宇宙へ飛んでいく。
当初はヴァレリーから帰還命令を出されるが、ヴィクトルと協力して衛星を修理。
最後は残る覚悟を持ったが、ヴィクトルの説得で修理を終え、二人で地球へ帰還した。
・ヴィクトル(演:パーヴェル・デレヴィヤンコ)
代表作に『アルティメットウェポン』、『ブレスト要塞攻防戦』などがあります。
主人公。サリュート7号と宇宙服の開発に関わる技師。宇宙飛行を夢見て訓練をしていた。
サリュート7号の事故でヴァレリーから要請を受けてウラジミールを船長に推薦した。
無茶なウラジミールのドッキングで怒っていたが、すぐにサリュート7号の修理をする。
水が計器に入って火事になると、一人で消化活動して爆発に巻き込まれて火傷を負う。
最後は諦めるウラジミールを説得し、サリュート7号を修理して、二人で地球帰還した。
・ヴァレリー(演:アレクサンドル・サモイレンコ)
代表作に『ナイト・ウォッチ』、『デイ・ウォッチ』などがあります。
ソ連宇宙開発の責任者。元宇宙飛行士。ウラジミールとは旧知の仲で友人でもある。
サリュート7号の事故で上層部から破壊の意見が出る中、貴重な技術の損失に反対する。
困難極まる任務の中で、ウラジミールたちを信じて反対を押し切る決断を下していた。
一人しか帰還できないと知って、怒りをモノに当てたが、挑戦する二人に困惑した。
最後はサリュート7号の電源が復活し、同時に二人が帰還できるとホッとして一服する。
・ニーナ(演:マリア・ミノロバ)
代表作に『ナイト・ウォッチ』、『グラウンドブレイク/都市壊滅』などがあります。
ウラジミールの妻。宇宙での任務から帰ってきた夫に、しつこく愛を確かめていた。
久しぶりの地球に慣れない夫を気遣い、地上での生活にゆっくりと順応するよう話した。
サリュート7号を修理する夫の決断にブチ切れて、マトモに話も聞かずその場を去る。
ニュースで流れるサリュート7号の状況を遠くから聞いて、娘と出かけて気を紛らわす。
最後はサリュート7号に残ると決めた夫に別れを告げず、地球に戻るように訴えた。
・リリア(演:ルボフ・アクショノーヴァ)
代表作に『ナイト・ガーディアンズ』、『アンチグラビティ』などがあります。
ヴィクトルの妻。妊娠30週目でもうすぐ赤ん坊が生まれる。夫の宇宙飛行を心配する。
サリュート7号の修理に選ばれた夫に対して、自殺行為として必死に止めようとした。
結局、強い決断を持った夫を止められず、家で一人で彼の無事を祈りながら待っていた。
最後は産気づいて独力で救急車を呼び、夫が帰還すると知らず無事に出産をした。
・ユーリー・シュマコフ(演:ヴィタリ・カエフ)
代表作に『オルド/黄金の国の魔術師』、『アイスブレイカー/超巨大氷山崩落』がある。
ソ連国防総省の職員。アメリカとの宇宙開発でリードするが、技術の保持を一番に考える。
サリュート7号の事故からドッキングが困難と知って、撃ち落とすべきだと提案した。
技術の損失よりアメリカに奪われる事を気にするが、ヴァレリーの説得でなんとか待つ。
サリュート7号を墜落させる事も不可能と知って、ウラジミールたちの犠牲も考える。
最後は間違った決断を下したヴァレリーの責任を問い詰め、彼に全部なすりつけていた。
感想
[個人的な評価]
本作は『未体験ゾーンの映画たち2018』にて上映された作品となります。
この作品は1985年に実際にロシアの衛星「サリュート7号」で起きた事件を基にしている。
近年のロシア映画は特にSFで目覚ましい活躍が目立っています。
少しだけファンタジックな要素を持ちながらも、ハリウッドとは違った雰囲気があります。
そんな本作は実際にあった宇宙での事故と、当時はまだアメリカと冷戦状態だった緊張感を描いています。
宇宙飛行士たちが宇宙で作業する描写は決して珍しくないが、本作はかなりリアルに描いているところが実に面白いです。
現実感のない作業であるが、しっかりと命の危険について丁寧な描写に引き込まれます。
少しだけの油断でも命取りになる事を緊迫感で示し、その危険さを分からせる演出は上手いと思いました。
物語のメインとなるサリュート7号とのドッキングに関しても、CGで描きながらもリアルな雰囲気があって一緒に緊張も与えている。
多くの映画では簡単にドッキングしてしまうが、本作はその難しさを描いていました。
更に主人公たちの上司が何度も難しい決断に迫られ、反対を押し切って彼らを信じていくところもまたアツい部分でもありました。
だからこそ、一人しか帰せないと分かった時の怒りをぶつけるシーンは共感ができる。
実話を用いた作品というのはどうしても出来事を並べるだけで、面白味に欠ける事が多いが、本作は演出が丁寧だった為に引き込まれる構成になっていたと感じました。
ラストでは主人公たちが絶望の中でも必死に地球へ帰ろうとして行動し、結果として二人が生還を果たせると分かった時は思わず「良かった」と言ってしまうぐらい物語の中に入り込めました。
決して派手な演出があるワケじゃないが、宇宙での作業がどれだけ危険なのか分からせてくれる良作でした。
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