作品データ
あらすじ
ジャージ姿の三人組アイドルグループ「ジョージガール」のアヤネ、ナナミ、マユコはある番組の企画で廃墟となった老人ホームを訪れる。
廃墟に到着すると、待機していたバンで左頬をケガしたアヤネが先行して肝試しをすると老人の影に襲われて入院してしまう。
帰宅する三人の周りで奇怪な現象が続発し、アヤネの傷が治らずジャージガールの脱退を余儀なくされ、残された二人の体にも異変が起き始めるのだった。
登場人物&出演者
・アヤネ(演:未来穂香)
代表作に『リアル鬼ごっこ4』、『江ノ島プリズム』などがあります。
アイドルグループ「ジャージガール」のリーダー。緑のジャージ。サッカーが得意設定。
母子家庭に育っているが、グループの中で一番容姿に優れていてセンターを務めている。
ナナミとマユコから快く思われておらず、裏では彼女たちかの嫌がらせを受けている。
廃墟で「高速ばぁば」に遭遇し、老女と化して母親から虐待のような扱いを受けてしまう。
最後は自分の姿をコピーした「高速ばぁば」によって母親とともに殺される事になる。
・ナナミ(演:北山詩織)
代表作に『ランウェイ☆ビート』、『女子高』などがあります。
アイドルグループ「ジャージガール」のメンバー。青のジャージ。身長が高くスタイル良し。
廃墟のロケ前にアヤネのジャージにホチキスの針を仕込み、左頬に傷をつけている。
実はマユコに命令されて嫌々やっていて、いなくなったアヤネに会おうと不法侵入した。
罪悪感を持っていて、アヤネをなんとか助けようとマユコを説得して廃墟に向かう。
最後はソロデビューの舞台前に復活した「高速ばぁば」に若さを吸い取られてしまう。
・マユコ(演:後藤郁)
代表作に『古都』、『ナニワノノア』などがあります。
アイドルグループ「ジャージガール」のメンバー。白のジャージ。三人の中で年長者。
三人の中で一番微妙な立場にいるが、ナナミに命令してアヤネに嫌がらせをさせていた。
アヤネに会おうとしたナナミに遭遇して、悪事を暴露されると思って脅迫していた。
呪いを解こうと廃墟にやって来るが、結局はアヤネが元に戻る為に犠牲となってしまう。
最後は助け出したナナミの前に姿を表すと、血の涙を流しながら助けを求めていた。
・望月千里(演:中村愛美)
代表作に『WASABI』、『呪怨/白い老女』などがあります。
「ジャージガール」のマネージャー。元グラビアアイドル。グループを売り出そうと必死。
メンバーたちの仲が良くないと分かっているが、ビジネスの為に黙って見過ごしている。
アヤネの左頬の傷が悪化して家から出ないと、会おうとして佐紀に腕を挟まれて負傷する。
包帯していたが腕の傷は悪化して血が出るまで掻き、精神的にも不安定になってしまう。
最後は榎本が失踪して車椅子を見て、負傷した左腕を狂乱したように傷つけていた。
・榎本信也(演:岡田義徳)
代表作に『渚のシンドバッド』、『木更津キャッツアイ』などがあります。
肝試し番組のディレクター。廃墟と化した老人ホームでジャージガールを使って番組を作る。
下見した時は何もなくてつまらないと心配しながら、アヤネの撮影する映像を眺めていた。
アヤネがいなくなってしまうが、番組がお蔵入りしない為になんとか敢行しようとする。
「高速ばぁば」に迫られて廃墟から出てくるが、怨念パワーで両脚を逆方向に曲げられる。
最後は企画が潰れ、クビになったと話し、帰ろうとして「高速ばぁば」に連れ去られた。
・上坂佐紀(演:大塚由祐子)
代表作に『キッズ・リターン』、『14才のハラワタ』などがあります。
アヤネの母親。シングルマザーだが、なぜか立派な一戸建てにアヤネと住んでいる。
廃墟から帰ってきたアヤネの様子がおかしくなり、左頬の傷が悪化して家に閉じ込めていた。
老化していくアヤネを外に出せず、不法侵入したナナミを見つけて平手打ちして追い出す。
更に家へ入ろうとした望月の腕をドアに挟むなど、完全に他人を拒絶するような態度になる。
最後はアヤネの姿になった「高速ばぁば」に殺害され、湯船に死体を隠されていた。
・渋川(演:中村有志)
代表作に『オルゴール』、『羊の木』などがあります。
老人ホームの経営者。ジャージガールたちが肝試し番組に訪れた老人ホームはすでに廃墟。
入居する老人たちはほとんど金がなく、彼らを人間として扱わず虐待の限りを尽くした。
そのせいで老人たちは人形を製作し、血液と怨念を染みこませて「高速ばぁば」が誕生する。
最後は経営難に陥ると、老人たちを縛ったまま老人ホームを閉鎖して姿を行方不明となる。
・高速ばぁば(演:小野敦子)
代表作に『マルタイの女』、『GOEMON』などがあります。
老人ホームに巣くう老婆の霊。白く長い髪と赤い着物を着て、高速で追いかけてくる。
その正体は封鎖された老人ホームの老人たちが虐待と監禁された怨念と血で動く人形と判明。
勝手に老人ホームへ面白半分で入ってきたジャージガールやスタッフに怨念を被せていく。
爪には未知のウイルスを持ち、切られた相手の若さを吸い取り、自身のその姿をコピーする。
最後はナナミに一度倒されるが、復活して残ったナナミの若さを吸い取って立ち去った。
感想
[個人的な評価]
本作は2013年に企画されたホラー三部作の第二弾となります。
2013年7月27日からユーロスペースのレイト・ショーで公開されていました。
監督と脚本を務める内藤瑛亮にとって長編映画二作目となります。
本作の「高速ばぁば」は都市伝説にある「ターボばあちゃん」と「ひきこさん」に妖怪の「鬼婆」をモチーフにしています。
つまり、本作の「高速ばぁば」は新たに生み出された存在だが、見た目と恐ろしい怨念の力はかなりのインパクトがあります。
特にタイトルともなっている「高速ばぁば」は強烈なインパクトを持っていて、なぜか個人的にもの凄く惹かれます。
本作は典型的な低予算のホラー映画となっているが、予想以上に設定をきちんと練り込んでいて面白く仕上がっています。
何より単なる怨念の不思議パワーだけじゃなく、まさか未知のウイルスまで使って感染させる能力まで持っている設定はなかなかの盛り込みでした。
猫背で顔の怖い老婆が追いかけてくるだけでも強烈ですが、「高速」が付いているならば、もっと速く追いかけてくる方が良かったです。
そうすれば、もっと恐ろしい演出ができたけど、多分、現場ではあのスピードが限界だったのだろうと思われます。
物語全体としてアイドルグループの裏側を見ているような感じで、特に女の表面的な仲良しと裏の顔もあって、そっちの方も別の意味で恐ろしいと感じさせる。
それに加え、老人ホームでの虐待問題も取り込んでいて、意外にも低予算ホラー映画ながら社会派なメッセージ性もありました。
本作の「高速ばぁば」は練り込まれたキャラクターで、しっかりと個性を発揮していて、あの「貞子」に及ばなくても近いぐらいの良さがありました。
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